PEラインのデメリット

逆にPEラインのデメリットを箇条書きで挙げると以下のようになります。

(1)比重が小さいため風の影響を受けやすい(2)ナイロンラインやフロロカーボンラインに比べて耐摩耗性に劣る(3)細いPEラインを使う場合はラインシステムが必須(リーダーを要する)(4)エアノット(PEラインに自然と結び目が生じる現象)やゴップ(PEラインがスプールから絡まった状態で飛び出す現象)といったライントラブルが発生しやすい

補足説明をすると、(2)に関しては(ライン表面に施されているコーティングや加工にもよりますが)耐摩耗性においては激しく劣り、とくに2号以下の号数であれば、ちょっとラインに傷が入っただけでもいともかんたんに破断します。ゆえにラインシステムは必須です。


(左)エアノット、(右)ゴップ

(4)のエアノットやゴップといったライントラブルは、PEライン&スピニングリールの組み合わせで多く見られるライントラブル(とくにエアノット)です。PEラインを使う際には、適正な糸巻き量やラインテンションを常に意識し、フェザーリングやサミングをしっかりと行う必要があります。

そんな、飛距離を伸ばすというよりも、無用なライントラブルを防ぐ意味でも、PEラインを使う場合にはラインコーティング剤の使用を強くオススメします。
とはいっても、わざわざ高価な釣り専用のラインコーティング剤を使う必要はなく、ホームセンターなどで売られている安価なシリコンスプレーや撥水剤スプレーで十分に代用可能かと思われます。それらは主成分がフッ素であるかシリコンであるかの違いであり、どちらもラインの潤滑性能や保護性能に効果があることには変わりがありません。

ただし、PEラインの原糸である「ポリエチレン」は構造的に化学変化に強い材質ではあるものの、表面に施されているコーティングや着色材はそうでない場合があります。専用ラインコーティング剤の代用品を使う場合には、「溶剤」を含まないことをうたっているものを推奨します。
(ラインに限らずあらゆる素材に対して悪影響を及ぼすのは、ほとんどが「溶剤」の特性によるものです)

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個人的に釣り初心者さんにオススメする
PEラインのタイプとは?

釣り初心者の方の場合は、ライントラブル連発でリールに巻いてあるPEラインをいきなりダメにしてしまう可能もあるので、もしPEラインを初めて使うのであれば、

(1)安価な4本編みモデル(2)号数1.5号以上のもの(3)高密度編み込み構造をうたっているようなコシの強い硬めのもの

といったタイプのものを使用することを、個人的にはオススメします。


コストパフォーマンスに優れた4本編みのPEライン

高密度編み込み構造をうたったPEライン

「4本編みモデル」と「8本編みモデル」の違いですが、編み込み本数が増えるほどライン断面が真円に近くなるため、飛距離と操作性が若干アップし、PEラインがガイドを通過する際のいわゆるガイド鳴りが起きにくくなります。ただし、編み込み本数が増えると1本あたりの繊維の太さが細くなるため、こと根ズレ(耐摩耗性)に対しては「8本編みモデル」よりも「4本編みモデル」に軍配が上がるといった具合です。
ちなみに、編み込み本数が多くて細いPEラインほど、総じて高額になる傾向にあります。

次にPEラインの号数に関して。
日本ではなぜかやたらと細いPEラインの使用を推奨する傾向にありますが、ラインが細いということは当然ながら耐久性は低く、かつ、細いPEラインを使いこなすだけの腕がなければいらぬライントラブルを招くだけです。釣り初心者の方は「飛距離」「引張強度」「ライントラブル発生率」を考慮したうえで、総合的に一番バランスが取れているであろう1.5号を基準に考えた方が、恐らく使いやすいかと思います。

最後にコシのある硬めのPEラインをオススメしているのは、張りのあるPEラインの方が総じてライントラブルが少ない傾向にあるから。
ベテランアングラーのなかには、「PEラインはナイロンラインやフロロカーボンラインと違って、あのコシがない点が最大のメリット」と言われる方もいますが、それもまた良し悪しです。コシがないということは、ちょっとしたことでライントラブルを誘発しやすいということでもあるので、初心者の方には硬めがオススメですね。

引張強度が強く、感度に優れたPEラインをトラブルなく活用するための解説はいかがでしたか? ちなみに、使い古したPEラインは空のラインスプールに号数を記入し、巻いて取っておきましょう。傷が入っていなければ、下巻きラインとして使えますよ。
といったワケで、当記事が釣り初心者さんのPEライン選びの参考になれば幸いです。

それではよいフィッシングライフを。

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レポーター

プロフィール:ばんぱく
ラパラルアーとアメリカンルアー、アニソンとZABADAKとPerfumeの曲をこよなく愛する心優しきオッサンアングラー。さらに競馬や雑学、サブカルチャー系の知識全般にやたら造詣が深い。