メーカーは「日常使いがシビアコンディションになるような設計はしていない」と指定時期での交換を推奨

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いっぽう、ある自動車メーカーのエンジニアの意見によれば、「オイルがないまま全開走行を長時間続けるなど、よほど極端な使い方をしない限りは壊れないようエンジンを設計していて、通勤・通学や買い物など日常での利用でダメージが入るようなことはほとんどない」としています。

十分に余裕を持ったタイミングでオイル交換の交換時期を設定し品質を保証しているほか、オイル交換の回数が増えればユーザーの負担だけでなく環境負荷も大きくなるため、指定オイルを指定時期に交換することを推奨しているようです。

また、メーカーが指定する「シビアコンディション」については、あくまでも“リスクが高い状態”であり必ずしも負荷が高い状態にあるとは限らないものの、リスクを減らす予防として通常よりも早めの交換を推奨しているとのこと。そのため、タイミングが少し遅れた程度では深刻に考える必要はないと言えるかもしれません。

ただし、エンジンオイルをまったく交換していなかったり、規定の量よりもずっと少なかったりした場合は大問題。車両火災につながるおそれもあるため、ただちにオイル交換やそれにあわせて各部の点検や整備を実施しましょう。

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真っ黒になったらすぐ交換すべき?「安いオイルを短距離で交換」は効果がない?

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エンジンオイルは、使用する前の状態は透明な飴色ですが、オイル交換でエンジンから抜くときには真っ黒に変色しています。エンジンオイルにはエンジン内をきれいにする効果がありますが、エンジン内の汚れが混じってエンジンオイルが黒くなったように見えるため、「エンジンオイルが真っ黒になったら交換時期」だと判断する人は少なくありません。

実際にはエンジンオイルが真っ黒になったからといって、著しくエンジンオイルの性能が低下しているとは限りません。エンジンオイルが黒く変色するのはエンジンオイルがその役割をきちんと果たしている証拠であり、たしかに新品状態からは劣化しているものの、黒くなっているかどうかをエンジンオイル交換時期の目安にすることは間違いです。

また、エンジンオイルの色を交換時期の目安にしているドライバーは交換頻度が増えるため、安価なエンジンオイルを短距離で交換することで費用が倍増することを防ごうと考える場合もあるようです。たしかに、「メーカー指定の10000円のオイルを1年または10,000キロごとに交換」と「メーカー指定外の2500円のオイルを3カ月または2,500キロごとに交換」ではどちらも1年でかかる費用は同じとなります。

しかし、指定のエンジンオイルよりも性能が低いエンジンオイルを使うことでエンジン内部を保護するはたらきが弱まれば、エンジンブローといったトラブルを誘発するおそれがあるため、エンジンオイルをこまめに交換していたとしてもそれがエンジンの寿命を伸ばすことにはつながらないと言えます。指定外のエンジンオイルを使用する場合は、その性能をしっかりと見極めることが重要です。

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