最後のグループAランエボ

空力・冷却性能とフロントリフト改善を目的に、フロントバンパー形状の変更が目立つエボVI(画像は競技向けRS)

数年前に最後のエボXが販売を終えて以降もなお、「いつかの復活」を願われ続けている三菱の名車、ランサーエボリューション…通称「ランエボ」。

MOBY編集部がAIに聞いた、「30~50代のクルマ好きが気になる名車」にも歴代ランエボがノミネートされており、今なお一級の戦闘力を持つうえに限定販売車とあって中古車市場でもタマ数は極端に少なく、値札がついて売られていてもかなりの高額です。

もともとはギャランVR-4の後継としてWRC(世界ラリー選手権)に参戦するグループAマシンとして開発されましたが、その最後の栄光を飾るとともに、年々戦闘力を増すWRカーとの苦闘を繰り広げたのが、最後のグループAランエボ、エボVIでした。

(広告の後にも続きます)

空力・冷却性能をリファインした「エボVI」

仰角可変式の2段式リアウイングなど空力が全体的にリファインされたエボVI(画像は一般向けのGSR)

前作の「エボV」でついに5ナンバー枠のくびきから解き放たれ、3ナンバーのワイドボディを手にいれてターマック(舗装路)での戦闘力を増し、究極のグループAラリーマシンとなった三菱 ランサーエボリューション。

しかし、1997年からWRC(世界ラリー選手権)に導入されたグループA特例マシン、「WRカー」の面々と市販車ベースのグループAマシンで戦い続けるためには、ベース車により矢継ぎ早のバージョンアップが求められます。

そこでエボVからわずか1年、1999年1月に発売されたのがランサーエボリューションVI、通称「エボVI」で、小径化されたフォグランプをバンパー左右端に移し、ナンバープレートも左へオフセットにして開口部を広げ、冷却性能とフロントリフトを改善。

さらに仰角調整式の二段リアウイングなど、見た目がエボVから大きく変わりました(ただしWRCでは規則によりリアウイングの上段のみ有効化)。

引き続き期待されたエボVIですが、特に一般向けのGSRでは乗り心地をするため柔らかくされた足回りが不評で(競技向けRSではオプションでエボVの足回りも選択可能)、当時は「ランエボも軟派になったものだ」と思ったものです。

ただし、既にグループAマシンとしては先が見えており、次のエボVIIではWRカー投入を控えていた三菱にとって、「ランエボを競技ベース車だけでなく、高級GT的にも売りたい」という流れがあって、エボVIはその実証車両だったとも考えられます。

「そしてスバルだけが残った」結局、1990年代のワゴンブームとはなんだったのか?今後再燃はあるのか【推し車】