キャンピングカービルダーの社長は、普段どんなクルマに乗り、どんなライフスタイルを送っているのだろうか? 自らキャンピングカーライフを実践するビルダー社長にスポットを当て、その愛車とライフスタイルを紹介することでビルダーのバックボーンを紐解くのが、本企画の趣旨だ。

今回ご登場いただくのは、「アネックス」「デルタリンク」「キャンピングカーランド」「ダイレクトカーズ」などのキャンピングカーメーカー&ショップを展開するLACホールディングス代表取締役社長山田秀明さん。日本のキャンピングカー市場をけん引するLACグループの代表は、どんなクルマに乗り、どんなこだわりを持っているのだろうか。


LACホールディングス代表取締役社長 山田秀明さん

ヨット三昧だった学生時代

東海大学海洋学部航海工学科に在籍していた18歳の頃から、大小さまざまな船を乗り継いできたという山田さん。ヨットレースに明け暮れていた当時は、“海”が生活の中心だった。充実したヨットライフを送る中で、頻繁に車中泊もしていたという。

「年代的には、1980年代半ばくらいの話ですね。大学生だった当時はヨット三昧の生活で毎日海に通い詰めだったし、一度海に出ると長期の航海も多かった。そうしたライフスタイルと車中泊は、非常に親和性が高いんです。当時はキャンピングカーではなかったですが、ヨット中心の生活を送るためにセドリックのステーションワゴンで頻繁に車中泊していました。どこでも寝られる気質は、その頃も今もまったく変わりませんね(笑)」

大学卒業後は、ヨットやキャンピングカーとは関わりのない企業に就職したが、ターニングポイントとなったのはヨットを通じたある出会いだった。

「ヨット屋をやろうかなと思っていた時に、ヨットを通じて知り合ったキャンピングカービルダーの社長に『うちにこい』と引っ張られたんです。それが、現在まで続くキャンピングカー人生の始まりですね。そこの会社で経験を積んで、30歳で独立。1995年に、岡山でデルタリンクを創業しました」

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輸入車7台を乗り継いだキャンピングカー遍歴

30歳でデルタリンクを創業した山田さんだったが、意外なことにキャンピングカーを愛車として乗り回し始めたのは、それから10年後のことだという。初めてのキャンピングカーは、ドイツ製のバーストナー・A574-2。コクピット上部に大きなバンクベッドを備えた、日本でいうキャブコンタイプのキャンピングカーだ。

「創業からしばらくの間はとにかく必死で、自分のクルマを買う余裕はありませんでした。ようやく『自分のキャンピングカーが欲しい』と思えるようになったのは、10年経って仕事が安定してきてから。それまではアメリカンモーターホームのB.C.ヴァーノンを中心に販売していましたが、ちょうどドイツ・バーストナー社のモーターホームを取り扱い始めた頃だったので、自分用にバーストナー・A574-2を購入しました。もともとキャンピングカーが好きだし、やっぱり自分が乗ってみないとお客様にもしっかりと説明できないですから。バーストナーでキャンプや旅も楽しみましたが、何よりも所有していることの満足感が大きかったですね」

自身にとって初めてのキャンピングカーとなるバーストナーの購入後は、同じバーストナー・A574-2、全長約7mのキャンピングトレーラーアドリア・アドーラ502、フルコンバージョンの最高峰モーターホームアドリア・スーパーソニックSCなど、合計7台の輸入キャンピングカーを乗り継いできた。

「当時最高峰だったアドリア・スーパーソニックSCに乗ったのが、今から7年くらい前。『売っている以上は、自分が乗って経験しておくことが大事』という思いもあったし、単純に最高峰のクラスA(フルコン)に乗ってみたいという気持ちもありました。基本は“キャンピングカー好き”なので、いろいろな車種、いろいろなレイアウトを自分で体験してみたいという思いも強かったですね」

「スーパーソニックSCの後は、モデルチェンジしたばかりのアドリア・ソニックスプリーム710SL、全長8m80㎝のリア2軸モデルアドリア・ソニックスプリーム810SLを乗り継いで、現在のアドリア・ソニックスプリーム710DCにたどり着きました」