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WEST.、BE:FIRST、KID PHENOMENON、Lienelがチャート揃い踏み 曲に表れる各グループの強み

Real Sound

WEST.『ハート / FATE (通常盤)』

CD Chart Focus

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2024-05-06/

 2024年5月6日付(4月30日発表)のオリコン週間シングルランキングで首位を獲得したのはWEST.の『ハート/FATE』で、推定売上枚数は265,995枚だった。2位以降はBE:FIRST『Masterplan』(109,557枚)、3位KID PHENOMENON『ONE DAY』(46,838枚)、4位Lienel『Melty flowers』(34,609枚)とボーイズグループのシングルが続く。ほか、トップ10圏内の初登場作品としては6位DIR EN GREY『The Devil In Me』(12,374枚)、7位水樹奈々『ADRENALIZED』(9,619枚)、8位小関舞『涙のTomorrow/Yes! 晴れ予報』(9,327枚)、9位小倉唯『君色のキセキ』(8,096枚)、10位KALEIDOSCORE『ニュートラル』(8,029枚)があった。

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 さて、今回取り上げるのは1位から4位までを占めたボーイズグループによる4作品だ。

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 まずは首位のWEST.『ハート/FATE』。CDデビュー10周年のタイミングでリリースされる記念すべき作品であり、シングルとしてはグループ改名後最初のリリースでもある。両A面のうちの一曲、シンガロングにうってつけのエネルギッシュなロックチューン「ハート」は、SUPER BEAVERの柳沢亮太による提供楽曲。メロディアスなストリングスが楽曲の展開をサポートする、J-POPの定石を抑えた堂々としたアレンジが印象的だ。一方、「FATE」は緊張感にあふれる力強くスローなビートが壮大なスケールを演出する一曲。ところどころに印象的に挿入されるボーカルの歪みや、大胆な音のカットといったギミックもさることながら、唸るようにアクセントをつけて緩急のある歌いまわしを散りばめるパフォーマンスも耳に残る。ある意味きわめて対照的な2曲だが、どちらも雄弁に場面や感情を盛り上げるストリングスのアレンジが効いているところが興味深い。ステージ上で演劇的に「魅せる」要素として活かされそうだ。

 続いて、BE:FIRST『Masterplan』。一聴してインパクトを残すのは、UKドリルのビートに伸びのあるボーカルをはじめとしたバラエティに富んだキャラクターのパフォーマンスが組み合わさったキャッチーさだ。ビート自体はとてもミニマルでダーク、展開も派手ではない。とはいえ、性格の違うパートを効果的に配していることもあってドラマチックな聴き応えがある。既存のジャンルをリファレンスにしつつ、最低限の翻案でボーイズグループならではの強みを活かすアレンジをつくりだす手堅い仕事がばしっと決まった1曲だ。表題曲以外では、グループとしては初の試みとなるメンバーJUNONのソロ曲「Nova Flame ~One of the BE:ST-01 JUNNON~」の声やハンドクラップを効果的に使ったユニークなビート、そしてコーラスワークの魅力が一聴の価値あり。

 そして3位は、EXILE TRIBE新世代の一角をなすKID PHENOMENONによる『ONE DAY』。歌声のスウィートな魅力を存分に活かす、ポップなミドルテンポのボーカルチューンだ。シンプルだが力強いメロディと、肩の力を抜きながらも未来へ踏み出そうとする歌詞がマッチして、ポジティブなエナジーに満ちている。「Ace In The Hole」や「Show U Light」といった収録曲も含め、歌メロのほかにも魅力的なリフやメロディで組み立てられた楽曲はジャンルを問わずカラフルな印象を残す。けれどもボーカルのパフォーマンスは実は結構クールで、そのコントラストがグループとしての安定感を感じさせて頼もしい。

 最後に取り上げるのは、スターダストプロモーションのアーティスト集団EBiDANの新メンバーオーディションから誕生し、昨年デビューを飾ったばかりのLienelがリリースする3枚目のシングル、『Melty flowers』だ。80sテイストのきらびやかでファンキーなサウンドと歌謡曲をも思わせるメロディラインが癖になる表題曲や、同じ方向性をもう少しクールに展開させたような「Baby Girl」(TYPE-Bのみ/シンセベースやトークボックスなどツボをついたアレンジが絶妙)など聴き逃がせない良曲が収録されている。現代的なボーイズグループの研ぎ澄まされたプロダクションに比べると線が細いようにも思えるけれど、刺さる人も少なくなさそうな作品だ。

 当然ながら各者各様、それぞれのグループの強みと目指すものが音源のなかにも表れている。かつ、CDデビューから数えても10年選手のWEST.を例外として、ここ数年勢いが続くボーイズグループの活況のなかで登場した若いグループばかり。もうしばらくは、このシーンが魅力的な楽曲が生まれるゆりかごになってくれそうだ。

(文=imdkm)

 
   

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