富士見堂さんとの出会いは、30年近く前から御世話になっている自然食品の宅配でした。厳しい食基準で知られるこの宅配で、たまに注文することができる貴重な「安心おやつ」を、息子といつも楽しみにしていました。
そしてあるとき、ひょんなことから富士見堂さんの若夫婦と知り合うことになり、宅配では扱いのなかった、さまざまな商品を味わう機会をいただきました。
がんこでまっとうなもの作りをされていた先代の仕事を受け継ぎながらも、親しみやすいデザインや新しい味わいを生み出そうと奮闘される初々しいおふたりを応援したくなり、下町にある本店工房に、息子を連れて見学に伺ったこともあります。
何を食べても感動レベルなのですが、なかでも衝撃を受けたのが、今回ご紹介する「シンプルまる(当初名はシンプル)」でした。
シンプルまるの原材料はお米だけ。味付けをしていない、まるで「おいしいごはん」のようなおせんべいです。
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ほどよい大きさ、厚みの食べやすさにも感心しますが、名の通りシンプルの極みのようなこの商品は、富士見堂さんの思いや姿勢をよく表した一品です。
なにこれ?なにこの美味しさ!こんなものを作れるなんて……と感動して以来、味わうたびに「本当に富士見堂さんって凄い!」と思うのです。
おせんべいやあられというものは「米の加工品」です。加工品が添加物を多く使ったり味付けを濃くしたりするのは「素材の品質がよくない、素材そのものの味で勝負できない」からということが多いのですが、加工品であるにもかかわらず「調味料なし」という食品は初めてでした。
素材のよさはもちろん、この美味しさを生み出すには、高度な「焼き」の技があってこそだそう。
最近、海外通販で「お米のみでできたおせんべい」を見つけてオーダーしてみたのですが、素材はオーガニックであるにもかかわらず旨みがほとんどなく、結局ディップにつけたり、何かを乗せたりという使い方になってしまいました。おせんべいはやっぱり、日本伝統の職人技術なのだと痛感した次第です。