日頃から家族とコミュニケーションを取っていなかったり、『もっと〇〇してあげればよかった』という罪悪感があったりすると、こんなときこそ役に立ちたいと思ってしまい、お金を振り込もうとすることに必死になってしまいます」
Q.詐欺に遭いやすい人、詐欺に遭いにくい人の心理的な特徴について、教えてください。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
田中さん「詐欺に遭いやすい人とそうでない人には顕著な違いがあります。それは、思い込みが強いタイプの人、そして、情報を得る手段が限られている人です。
思い込みが強いタイプの人に関しては、先述の通り、“家族を守らないと”と必死になっていたり、『自分の判断は間違ってない』『自分は詐欺にだまされない』と過信したりして、周囲の人の言葉を受け付けません。
また、詐欺をする側が言っていることが事実かどうかについて、周囲の人に確認してみたり、自分でネットなどで調べたりすることができる人は、詐欺に遭う前に気付くことができますが、情報を得る手段が限られている人は、偽情報にだまされてしまいます。特に高齢の人の場合、健康や孤独で心細い思いをしていると、その辺りの心理につけ込まれてしまいます」
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Q.詐欺による被害を防ぐためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
田中さん「私たちには“認められたい”という欲求があります。例えば、有名人の名前や写真を使ったSNSでの詐欺行為については、『有名人とつながっていると思わせる』『優越感や特別感を得られる』といった深層心理を突いています。
そのため、日頃から『もっとお金が欲しい』『成功したい』というような思いが強いと、『△△さんが勧める~』『〇〇するだけで金持ちになれる』『誰でも簡単に』というような甘い言葉で誘う投資案件のほか、利益が出ると思えるような情報に頼りたくなります。
そこで、こうした詐欺に関する対処法として、『(1)提示された情報をうのみにせず、内容をよく確認する』『(2)第三者に相談する』『(3)すぐに反応せず、3日間放置する』の3つに取り組んでください。特に(3)は『すぐに〇〇してください』『限定オファー』という、人を焦らせるようなアプローチに有益です」
Q.家族や知人などが詐欺被害に遭いそうな場合、どのように対処すればよいのでしょうか。日頃からできる対策も含めて、教えてください。
田中さん「詐欺被害に遭いそうな人が家族や知人の言うことに耳を傾けない場合は、警察や消費生活センターなどに報告し、実際にどのような詐欺事件が起きているのか、現実を見せるのが有効です。そして、日頃から家族や知人と頻繁にコミュニケーションを取っておくことがとても大切です。そうすることで、詐欺被害を未然に防ぐ可能性が高まります」