もし自分がカレーを愛する人間であったら、間違いなくこの商品に人生をかき乱されていただろうと、そう確信している。喉元にぴたりと刃をあてがわれて、「本当なら仕留めてやりたいが、今回は特別に勘弁してやる」と、そう耳元で囁かれている。
先ほどビールを引き合いに出したが、実のところ筆者はアルコール類もそこまで好きではない。だがそれでも、うだるように暑い夏場にキンキンに冷えたビールを飲んだ時は、「何だこの美味い飲み物は」と思わされた。
このカレーにも、それと似た感動を覚えている。たとえ好物でなくとも、圧倒的な魅力は人を震えさせる。ぬらつくような刃のきらめきを、脳裏に植え付けてくるのである。
「心地良い恐怖」の中、筆者はいつしか「ごろチキ」を完食していた。全く飽きずにカレーを食べ終えたのはどれくらいぶりだろうか。
まだ首の皮はつながっているが、きっとまた食べたくなるという予感があった。「ごろチキ」は神であり、モンスターであり、エクソシストであり、そして優しい殺し屋であった。
広告の後にも続きます