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本当に35年前の映画?『アビス』の4K UHDの映像クオリティに「“最新映画”と言われても信じるレベル」

MOVIE WALKER PRESS

ジェームズ・キャメロン監督の初期代表作『エイリアン2』(85)、『アビス』(89)、『トゥルーライズ』(94)が、初の4KUHDで4月10日(水)にリリースされる。『タイタニック』(97)以前に撮られたこの3作は、気鋭の若手監督だったキャメロンがその才能を知らしめた意欲作であると同時に、後の『タイタニック』や「アバター」シリーズに通じるイメージの原点が見てとれる重要な作品でもある。

そこで今回MOVIE WALKER PRESSでは、初期代表作の魅力を探るべく、『アビス』劇場公開版の社内試写を実施!十数年ぶりに鑑賞したという長年のキャメロンファンから、海が舞台なのは知っているけど…という初鑑賞の社員まで集まってもらい、試写後にアンケートを実施。集まった感想コメントと共に、『アビス』の35年を経ても感動を届ける普遍的な魅力やリマスターされたパッケージの見どころなどを紹介していきたい。

■『アバター』の原点ともいえる『アビス』の深海世界

『アビス』は、キャメロンが少年時代から憧れてきた海を舞台にした海洋アクション。バッド(エド・ハリス)率いる海底石油プラットフォーム“ディープコア”のメンバーが、沈没した原子力潜水艦の救助作業をするなかで地球外命体に遭遇する物語だ。

今回発売されるパッケージには、キャメロンファン垂涎の「劇場公開版」と製作当時は技術的に難しかったシーンなどを追加した28分長い「完全版」の2つの本編を収録。映像特典はメイキング「アンダー・プレッシャー:『アビス/完成版』のできるまで」のほか、キャメロンが着想から完成までを振り返る「水の中へ:ジェームズ・キャメロン監督と『アビス』」と、主要スタッフが当時の舞台裏を明かす「偉大なる開拓者たち」の2本のドキュメンタリーが新たに追加されている。ほかにもストーリーボードやデザイン画など、静止画や動画によるパブリシティ素材など盛りだくさんの内容。

キャメロン作品と聞いて、まず思い浮かぶのは臨場感あふれる映像だろう。海が舞台の本作では、どこまでも続く神秘的な深海と機器や配管ひしめくディープコアの内部が、多彩なカメラワークを駆使して体感的に描かれる。撮影にあたってキャメロンは、原子力発電所の跡地に残された直径70m超の巨大なタンク内にディープコアのセットを建造。そこに水を流し込み海底シーンの撮影を行った。キャストはもちろん、キャメロンはじめスタッフも潜水服で撮影に臨み、迫真の海底世界を生みだした。

■「水中シーンと生命体の描き方が美しいなと感じました」(20代女性・初鑑賞)

今回実施した上映会では、『アビス』を初めて鑑賞する社員が半数以上を占めており、「徹底してリアリティを追求した海中シーンの映像は、さすがキャメロン監督!」(30代女性・初鑑賞)や「深海の閉鎖空間が中心でしたがセットの細部までこだわっているな、と思いながら観ていました」(30代男性・初鑑賞)と、後のキャメロン監督作に通じるテーマに見入ってしまったとの声が寄せられた。

特に水中撮影シーンについては、スタジオ内でワイヤーに吊られ“空中で水中を演じる”スタイルが近年は一般的だが、その質感は「リアル水中」にはかなわない。4K UHD化によって高精細になった映像から、「一緒に息を止めたり悲しんだり喜んだりと、揺さぶられました」(30代女性・初鑑賞)と、登場人物の心情により寄りそうことができた様子だった。

これまで監督した劇映画8本のうち、6本がアカデミー賞視覚効果賞を獲得しているキャメロン。視覚効果クリエイターの出身だけに、魅せ方はもちろん物語と絡めた視覚効果シーンの活かし方にも定評がある。デジタル時代前夜に製作された『アビス』では、大波に揺れる艦船や深海チェイスを繰り広げる潜水艇、美しい光を放つ異星人は緻密なミニチュアで撮影。合成もグリーンバックのほか目の錯覚を利用した遠近法を取り入れるなど、様々な工夫が凝らされた。そんな本作の視覚効果で一番のトピックがCGの導入。海水が生き物のように動きまわり人と触れ合う感動的なシーンのCG映像が評価され、本作は見事オスカーに輝いた。

「CGのシーン!待ってました!(笑)。35年前にCGであそこまで表現しつつ、特撮のよさも出している技術力に感服です」(30代男性・初鑑賞)
「水中シーンと生命体の描き方が『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』と共通して美しいな、と感じました」(20代女性・初鑑賞)

■「異種族が心を通わせる瞬間は神秘的」(30代女性・初鑑賞)

デザインにもこだわるのがキャメロン流。「異星人がT-1000のようだったり、その家がパンドラの世界に似ていたり、キャメロン作品の『あそこっぽいな!』を随所に感じられておもしろかった。『アビス』以降にいろんな作品が生まれたんだなと思うと感動」(30代女性・初鑑賞)など、意匠にキャメロンらしさを感じたという声も多かった。

独創的なビジュアルはもちろん、ストーリーテラーとしても才能を発揮しているキャメロン。世界興収上位を占める「アバター」シリーズや『タイタニック』はじめ、監督作はすべて自身の脚本作という事実がその才能を証明している。そんなキャメロン作品に共通しているのが、種や立場を超えた絆や愛を描いた普遍的な物語。『アビス』では知的生命体とのファーストコンタクトと、壊れかけた夫婦の再生を軸に壮大なドラマが展開する。

「深海を舞台に争いがおきたり、絆がはぐくまれたりハートフルストーリーで感情移入しちゃう。異星人が出てきたりというワクワクも!」(20代女性・初鑑賞)
「異種族が心を通わせる瞬間は神秘的」(30代女性・初鑑賞)
「伏線の数と回収の仕方が『うまい!やられた!』となる箇所が多かった」(30代女性・初鑑賞)

■「現代でも古びない、独立した女性像の描かれ方が印象的」(40代男性・既見)

また、今回久しぶりに見直したという社員からも「記憶していたよりヒューマンドラマ色が強かった」(40代女性・既見)、とドラマパートの見ごたえを再確認したという声も寄せられた。

強いヒロインもキャメロン作品に欠かせない要素の一つ。途中降板となった幻のデビュー作『殺人魚フライングキラー』(82)から、彼の作品には常に“戦う女性の姿”が描かれてきた。40年以上前からキャメロンは、エンタメ作も女性が主人公であるべきだと訴え続けてきたのである。『アビス』は男性が主人公だが、物語の鍵を握るのはバッドと別居中の妻リンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)。これまでと同じく、彼女も明るく行動的、強さと共に人間的な弱さも持った魅力的なヒロインで、彼女に魅了されたという声も多かった。

「リンジーとバッドの2人の会話がよかった」(30代男性・初鑑賞)
「現代でも古びない、独立した女性像の描かれ方が印象的でした」(40代男性・既見)
「メアリー・エリザベス・マストラントニオの表情の変化にクギ付けになりました」(40代男性・既見)

■「現代の映画のようにとても綺麗で、ノイズがないのでストレスなく観られた」(40代女性・既見)

1989年の公開から35年もの時を経て、4K UHDで復活した『アビス』。今回が初見だった社員からは、「それだけ古い作品だと画質がどうなの?」という疑問も鑑賞前に抱いた人も多かったようだ。太陽の届かない深海が舞台の本作には暗めのシーンも少なくないが、解像感が上がったことで色滲みなども解消された。明るいシーンは鮮明になり、暗めのシーンもディテールが際立ちひと皮むけた印象だ。

「色、なめらかさ、すべてにおいてとても綺麗になっていて現代の映画のようだった。ノイズがないのでストレスなく観られた」(40代女性・既見)
「35年前の作品とは感じさせない綺麗なビジュアル」(30代男性・既見)
「映画の画面が全体的にずっと暗いのですが、はっきりと見えて鑑賞しやすかったです。宇宙人の光り方や宇宙船の内部の画面描写が神秘的な異物のような感じがして、好みでした」(20代女性・初鑑賞)
「シャープだからこそ水の冷たさ、深海らしさを感じましたし、宇宙人の色は逆に不思議な雰囲気が強調されて見えた。序盤のヘリコプターの着艦シーン、ヘリの光り具合とか雨粒が見えるリアル感が『最新映画』と言われても信じるレベル!!」(30代男性・初鑑賞)

と映像クオリティに寄せられたのは絶賛の嵐。画作りのほか音楽やサウンドデザインにも凝るキャメロンだけに「音楽や効果音が物語を最大限に盛り上げていくいい演出になっていて、アトラクションに乗っているかのような高揚感を与えてくれました。家で鑑賞する時も、せっかくならいいスピーカーを用意して楽しみたいです」(30代女性・初鑑賞)という意見もあった。

DVDの旧マスターとの比較上映も行い、その違いに「登場人物たちが未知の生物に魅了される心情は新マスターのほうが伝わりました」(30代男性・初鑑賞)、「海中ならではの水の重量感や、暗闇に差す光のニュアンスは従来と比べ物にならないほど瑞々しかった」(40代男性・既見)、「造形物のディテールは、これまで見えなかった部分もクッキリ」(40代男性・既見)のほか、「人間の肌質なども美しくなっていたので、エド・ハリスの色気が際立っていた」(40代女性・既見)や「DVDと比較して観るのも楽しいので、UHDとDVD版揃えるのもいいなと思いました」(30代女性・初鑑賞)というマニアックな声も上がった。

■『エイリアン2』&『トゥルーライズ』にもファン垂涎の特典映像が収録!

『アビス』と同様に、初の4KUHD、コレクターズ・エディションでリリースされる『エイリアン2』と『トゥルーライズ』。両タイトルとも初出しコンテンツが収録されているので、キャメロン監督ファンにはぜひチェックしてほしい。

『エイリアン2』は、『ターミネーター』(84)で世界の度肝を抜いたキャメロンが挑んだ初のメジャー作品。大ヒットSFホラーの第2弾だが、戦争アクション仕立てにしたりクイーンエイリアンやウォーリアーなど新種を登場させたりなど、独創的なアイデアが光るキャメロンらしい作品に仕上がっている。

パッケージには「劇場版」と約17分の追加シーンを加えた「完全版」を収録。それぞれキャメロンやスタッフ、キャストによる音声解説が付いている。映像特典は従来の「驚異の攻撃力:『エイリアン2』メイキング」、「驚異の攻撃力:『エイリアン2』メイキング」のほか、新たにキャメロンが作品を振り返る「『エイリアン2』のインスピレーションとデザイン」を収録。ほかにもアートワークやストーリーボードなど静止画を含め多くのコンテンツが収録されている。

『トゥルーライズ』は盟友アーノルド・シュワルツェネッガーの企画、主演によるスパイアクション。家族にも素性を隠して活動しているスゴ腕エージェントがテロリストに挑むシュワ版「007」で、キャメロン唯一のアクションコメディでもある。ガジェットを使った情報戦から、銃撃、格闘、カーチェイスに垂直離陸戦闘機ハリアーIIも登場。キャメロンが撮ればスパイ映画もこうなる!というド派手な作品に仕上がった。

映像特典のメインはキャメロン、シュワルツェネッガーほか主要スタッフ、キャストが作品を語るメイキング「『トゥルーライズ』を振り返る」。企画の発端から激しいスタントの舞台裏など、実写にこだわった舞台裏が紹介される。ほかにも脚本(英文)や絵コンテ、セット図面やデザインスケッチ、撮影風景などスチール集、ポスター集、予告編が収録されている。

初期3作品を4KUHD映像で改めて観て感じるのは、キャメロンの画作りのこだわり。派手なアクション&スペクタクルはもちろんだが、『アビス』の吸い込まれそうな海の色や『エイリアン2』で闇を射す淡い光、『トゥルーライズ』のマイアミに降りそそぐ強い日差しなど高精細だからこそ再現できた映像によって、より没入感ある映像体験を味わえた。2025年公開予定の『アバター3(仮題)』を待つ間、過去作を振り返り、キャメロンの魅力や持ち味を再確認してみてはいかがだろう。

文/神武団四郎
 
   

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