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すべてが完璧なナパ・ヴァレーの頂点シュレイダー・セラーズ」

ワイン王国

text by Akihiko YAMAMOTO,photographs by Kenataro TAKIOKA

ナパ・ヴァレーの頂点に立つ「シュレイダー・セラーズ」の新ヴィンテージが10 月、世界にリリースされ東京でもお披露目された。最高の畑、無敵のワインメーカー、マスター・ソムリエ(*1)でもある卓越した支配人。すべてを備えた完璧なワインブランドの魅力を探った。

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ドリーム・チームの無敵のフォーメーション

「コンステレーション・ブランズ」傘下の「シュレイダー・セラーズ」は、記録を並べるだけで1冊の本ができるほど栄光に満ちている。品質の目安となる評論家の得点では、ロバート・パーカー氏、ジェームス・サックリング氏、ジェブ・ダナック氏ら著名なワイン評論家から計37回の100点満点を獲得している。“100点請負人”のワインメーカーは、トーマス・リヴァース・ブラウン氏。まぎれもなくナパ・ヴァレーでトップの一人。創業者のフレッド・シュレイダー氏が才能を見抜いて起用した。ボルドー品種で隙のないワインを造るのはもちろん、自身のブランドで好きなブルゴーニュ品種も造る。懐が深く万能だ。ワインメーカーを依頼するワイナリーの行列ができている。

「シュレイダー・セラーズ」ジェネラル・マネジャーのジェイソン・スミス氏。マスター・ソムリエでもある

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そして畑。ナパ・ヴァレーで格付けをしたらグラン・クリュ(特級畑)となるのは間違いない「ト・カロン・ヴィンヤード」のカベルネ・ソーヴィニヨンが主役を演じる。マヤカマス山脈から流れてきた小川が形成する沖積扇状地。火山性、砂利、ロームなどが混じり水はけが良い。サン・パブロ湾から冷気が流れ込み、ブドウに酸と熟した果実のバランスをもたらす。36ヘクタールを所有する「ベックストファー」で生まれるブドウは、世界で最も高価と言われる。

ジェネラル・マネジャーのジェイソン・スミス氏は27歳でマスター・ソムリエ試験に合格した俊才。ラスベガスに拠点を置く。定期的にナパ・ヴァレーを訪れて、ブラウン氏とともに畑を歩き、試飲している。ワインの知識はもちろん、ラスベガスのリゾート&カジノでワイン・ディレクターを務めた経験から、世界に通じるマーケティングセンスを備える。容易に実現できないドリーム・チームだ。

ト・カロンの魅力の一端がわかる『ダブル・ダイヤモンド』

価格も生産量の少なさからもなかなか手の届かないシュレイダー・セラーズだが、ダブル・ダイヤモンドはその魅力を若くして楽しめるセカンドワイン(*2)である。ト・カロン・ヴィンヤードとそれを取り巻くオークヴィルの畑から造られる。『カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2019年』が『ワイン・スペクテイター 2022』トップ100の1位に輝いた。 21年ヴィンテージも鉄壁だ。『同21年』はブラック・カラント、プラム、シガーボックス、黒鉛の風味。グラスに注いだ瞬間に、半径2メートルが香りで満たされる。ゴージャスというほかない。ビロードのようなテクスチャー、きめ細かいタンニン、水のようにのどを落ちていく。セカンドといっても、ナパ・ヴァレーのトップワイン、あるいはボルドーのトップ格付けシャトーに匹敵する奥深さを備える。

カルトワインの頂点に立つ『オールド・スパーキー』

シュレイダー・セラーズの2021年ヴィンテージをいくつか試飲する機会に恵まれた。数あるカルトワイン(*3)の中でも敵なしの完成度で、圧倒的なオーラを放っている。どのワインもナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンの頂点に位置すると言って過言ではない。『シュレイダー アールビーエス カベルネ・ソーヴィニヨン ベックストファー ト・カロン・ヴィンヤード 2021年』は口当たりは柔らかく、酸と果実とタンニンのバランスが取れている。単に力強いだけのナパ・カベルネとは全く異なる。クローン337のカベルネ・ソーヴイニヨン100パーセント。

また、マグナムで仕込まれる『オールド・スパーキー ベックストファー ト・カロン・ヴィンヤード 2021年』は巨大な塔のようにそびえて圧巻。強大なストラクチャー、彫りが深く、鮮やかな酸に縁取られている。重厚だが重くはなく、リフトがある。全く引っかかりのないタンニン、シームレスなテクスチャー、見通せない深みがある。一度でも飲めば、人生が変わるような偉大なワインだ。100点を付けたくなるのも無理はない。

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