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【アジアパラ】車いすテニスは小田凱人が初、上地結衣が4度目のパラリンピック出場内定

パラサポWEB

男子の若きエースと女子の第一人者が、そろってパリ切符を手に入れた。中国・杭州で開催されたアジアパラ競技大会の車いすテニスで、男子シングルスは小田凱人が初優勝。女子シングルスは上地結衣が2連覇を飾り、ともにパリ2024パラリンピック出場が内定した。小田はパラリンピック初出場、上地は4大会連続出場となる。

男子シングルスは日本勢がメダル独占! (写真左から)銀メダルの眞田、金メダルの小田、銅メダルの三木

攻撃的なテニスで日本人対決を制す

男子は、小田、眞田卓三木拓也が金・銀・銅メダル。日本人が表彰台を独占する中、2人を破った17歳の小田が頂点に立った。38歳の眞田との決勝は、「木下グループジャパンオープンテニス2023」に続いて2週連続。第1ゲームを取った後、前週よりも多彩な戦い方を見せた眞田に苦戦。第2セットはゲームカウント4-5と追い込まれたが、3ゲーム連取でストレート勝ち。

敗れた眞田(左)は世界ランキングでパリを目指す

この日の夜には連覇を狙う車いすテニスマスターズ(10月30日開幕)開催地のスペイン・バルセロナへ移動する予定のため「ここで長引くと、もう一泊することになっちゃうと思って意地が出た」と茶目っ気のあるコメントで振り返ったが、ここぞの場面で強烈なパフォーマンスを披露。「ボレーに出たり、サーブでエースを取ったりできれば一番いい」と話していた攻撃的なテニスを存分に発揮した。

世界ランキング1位の小田。「パリに向けてステップアップできた」

攻撃的なサーブで中国選手を攻略

女子の上地も全試合をストレートで勝利。田中愛美と組んだダブルスで金メダルを獲得した翌日、決勝で朱珍珍(中国)に6-2、6-0の2-0で完勝を収めて頂点に立った。コート後方に広いスペースがあり、下がって返球することが容易なコート環境。頭を越すロブを警戒するあまり、前方にポジションを取って仕かける場面が少なく、思っているようなプレーはできなかったと話したが、攻撃的なサーブで相手を攻略。「今までと違って(鋭い)角度を狙っている。ギリギリを狙う練習によって、1本取りたいときに思い切って打てた。今が完成形とは思わないけど、過程としてはすごくいい状態」と磨いている武器が生きた展開には納得している様子だった。

1年遅れたアジアパラでパリ内定を手にした上地

小田は世界ランキング1位、上地は世界ランキング2位。どちらも勝って当たり前と思われる重圧の中で順当に勝ち上がり、強さを示した。価値あるパラリンピック出場内定も、2人の反応は落ち着いたものだった。29歳でキャリアも長い上地は「本来(アジアパラは)2022年に行われていたはずで、1年遅れ。世界ランキングでの選考も7月から始まっている。もちろん(出場権が)取れたことは良かったと思いますけど、それがすごく有効かというと、例年とは違って、変わらずに大会に出続けないといけない」と現実を見つめた。2021年実施の東京大会時は、2018年のアジアパラ(インドネシア・ジャカルタ)で、2020年に予定されていた東京大会における、オリンピック・パラリンピックを通じて初の日本代表内定第1号となったが、今回は、パラリンピック開催まですでに1年を切っている段階で、ランキング争いの真っ最中。世界ランキングで出場が難しい選手なら話は別だが、世界ランキング2位の上地にとっては、大勢に影響がない。

東京パラリンピックでは銀。まだ見ぬ景色を求めてサーブを改良中だ

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6月の全仏オープンで優勝して史上最年少で世界ランキング1位になった小田も同じ状況だ。パラリンピックの出場内定について聞かれると「結果的についてきたのは嬉しいし、一つ、安心。でも、ここで決まらなくても、ランキング的に出られたと思うので。そこまで感極まって……というほどではないです」と正直に答えた。

自信を持って挑んだバックハンドは「決まると信じて打っていた。それを多用してポイントが取れたので満足です」

世界ランキング1位&2位が残した言葉

格別な喜びを表現するわけではない2人に見えたのは、車いすテニスをけん引する者の矜持だ。小田は、17歳と若いが、ことし1月に引退したレジェンド国枝慎吾の後を継ぐ若きエースとして期待と注目を集めている。過去にワールドチームカップなどで日の丸をつけているが、日本代表選手団の一員として臨む総合競技大会は初めて。「テニスでは、あまり、日の丸を背負ってプレーすることがない。年に数回だし、こういうところ(アジアパラ)は4年に1回しかなく、すごく貴重なタイミング。いつもよりも重みを感じながらやれました」と話した。パラリンピック出場内定が決まったことについて聞かれたときも「それも嬉しいです。でも、そのために来たというより、金メダルを取りに来たという感じだった」と個人が持ち帰るパリ行きの切符ではなく、日本にもたらす金メダルへのこだわりを示した。

「ここで金を獲ったからといって、何か変わるかと言われたらそうではない」と小田。実績を積み重ねて未来へと向かう

小田より1日早く金メダルを獲得した上地も「明日も男子シングルスが日本人対決であります。(日本の男女が)揃って金メダルを獲得することや、テニスの男女で出場権を取るところは、日本としていい流れだと思うので、流れを先に作れたところはよかったと思う」と、自身のパリパラリンピック出場内定より、選手団における車いすテニス日本代表の成績面に価値を見出していた。

上地は、一球一球、ラリーの途中でも歓声をあげる、テニスを見慣れていないであろう観客の反応など、選手にとってはストレスになる可能性もある部分でさえ、前向きに捉えていた

パラリンピック出場だけに捉われずに挑んだ、車いすテニスのけん引者の言葉は、競技の枠を超えて吸収するもの、伝えられるものがあるアジアパラの価値を示していた。

edited by TEAM A
text by Takaya Hirano
photo by Atsushi Mihara, Takamitsu Mifune

 
   

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