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綾瀬はるか×長澤まさみ×夏帆×広瀬すず、奇跡の四姉妹の“いま”が刻まれていた『海街diary』

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 『誰も知らない』や『万引き家族』といった是枝監督の代表作は、ショッキングな事件の背後にあったかもしれない事件当事者たちの生活を描くことで、非日常の中の日常を紡ぎ出していた。対して『海街diary』は、これまで事件の裏側にあるものとして描かれていた日常が全面に打ち出されている。そのため「きれいすぎて中身がない」という批判も少なくない。

 だが、本作を繰り返し観ていると、日常の裏側に不穏な気配が刻まれていることがわかってくる。それは過去にエベレスト登山で遭難して足の指を6本失った千佳の恋人の浜田店長(池田貴史)や、幸が付き合っている小児科医の椎名(堤真一)には心を病んでいる妻がいて、離婚できずにいるというエピソードに強く表れている。

 店長の失った指も椎名の妻も劇中では描かれない。それは亡くなった幸たちの父親も同様で、意図的に映されていないものが本作には多い。なぜ、それらは映されていないのか? そこに関心が向かうと、鎌倉の四姉妹の美しい日常を切り取っただけに思えた物語が少しだけ違ったものに見えてくるのが、本作の奥深さである。

(文=成馬零一)

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