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梅雨の豪雨は怖い!梅雨のメカニズムと豪雨に備えるポイント

防災ニッポン

ちなみに、気象庁が発表する梅雨入りや梅雨明けには速報値と確定値があります。速報値と確定値があるのは、「梅雨入りしたのに晴れが続く」「梅雨明けしたのに雨が続く」など、梅雨入り・梅雨明けが速報値通りではない場合があるためです。
確定値は9月ごろに気象庁が発表します。

令和4年度は梅雨明けの速報値が6月下旬となっていますが、確定値では7月下旬に修正されています。これは6月下旬に梅雨前線が北上して晴れ間が増えたものの、7月の下旬に再び梅雨前線が南下して梅雨空が戻ったためです。

このように梅雨入りや梅雨明けのタイミングは年によって大きく変わる場合があります。

梅雨の豪雨がもたらした過去の災害

下の表は、近年の梅雨の豪雨災害による事例をまとめています(期間:2016〜2021年)。

梅雨の時期にはほぼ毎年のように、死者が出る豪雨災害が発生しています。
期間やエリアを見てもわかるように、梅雨の豪雨災害は長期間・広範囲にわたるのが特徴です。

梅雨の豪雨が怖い3つの理由

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梅雨の豪雨が怖い理由として下記の3つがあります。

・被害が長期化する可能性がある
・梅雨前線のちょっとした動きの違いで豪雨のエリアが変わる
・線状降水帯が発生しやすい

被害が長期化する可能性がある

梅雨の豪雨が怖い理由として、長期化が挙げられます。
梅雨前線は、偏西風に流されて移動する低気圧や台風と違いライン上に停滞します。低気圧や台風のように通過すると大雨が終わるわけではありません。

梅雨前線がかかり続けると豪雨が長期化する可能性もあります。
また、雨が落ち着いても再び梅雨前線が活発になり、新たに豪雨となるケースもあります。
終わりの見えない豪雨が続くのは梅雨の怖さです。

梅雨前線のちょっとした動きの違いで豪雨のエリアが変わる

梅雨前線の幅は、横方向には長く縦方向には短い特徴があります。
そのため、梅雨前線が南北方向に少し移動するだけで、降水エリアが大きく変わるケースも少なくありません。

たとえば「予想では山陰は晴れ、四国の太平洋側は豪雨」と出ていたのに、梅雨前線が予想よりも北上したことで、逆に「山陰は豪雨、四国の太平洋側は晴れ」となるようなケースもあります。

梅雨前線のこまかな動きを予想するのは困難なため、梅雨時期は天気予報が大きく外れることも多いです。
そのため、豪雨の予想がされていなかったエリアが豪雨となり、対策が遅れてしまうようなリスクもあります。

線状降水帯が発生しやすい

梅雨は、線状降水帯が発生しやすい特徴があります。
線状降水帯とは、気象庁では下記のように定義しています。
「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、長さ50~300km程度、幅20~50km程度の線状に伸びる強い降水域」
引用:気象庁「予報が難しい現象について (線状降水帯による大雨)」

引用:気象庁「予報が難しい現象について (線状降水帯による大雨)」

梅雨の豪雨災害は主に線状降水帯によるものです。
梅雨前線上にはたびたび線状降水帯が発生し、数時間以上、同じ地点に豪雨をもたらすことがあります。

台風や低気圧でも線状降水帯は発生します。しかし、梅雨の線状降水帯は梅雨前線がある限り、何度も繰り返して発生するケースがあります。
そのため、豪雨を繰り返すことや線状降水帯がほかのエリアに移動することで被害が拡大するリスクがあります。

梅雨の豪雨は気象・防災情報で備えよう

梅雨の豪雨災害の事例を見ると、発生する災害の多くは下記が起こることが共通しています。

・土砂災害
・浸水
・河川の氾濫

いずれも早めの対策や避難で、命を守ることができる災害です。
梅雨の場合は、天気予報が外れたとしても降るエリアが変わっただけで、大雨そのものや、リスクがなくなるわけではありません。再び梅雨前線が接近して豪雨になるリスクもあります。
梅雨時期は、「いつ豪雨になっても不思議ではない」という警戒心を持つことが大切です。

その上で、気象注意報・警報情報をチェックし、気象庁が運用する情報提供サービス「危険度分布」(キキクル)やハザードマップを活用して災害リスクの確認をこまめに行いましょう。
また、自治体が出す避難指示や緊急安全確保などの避難情報に基づいた行動も重要です。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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九州南部の梅雨の降水量は4年周期で激しく増減していた

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