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日本でSDGsキャンペーンが盛んなワケ 浸透していないドイツ、達成度が高い?

リアルライブ

 最近、日本で連日のように耳にする「SDGs」。持続可能な開発目標のことで、具体的には世界の環境問題や差別、貧困、人権問題を世界で一丸となって2030年までに解決していこうという目標を掲げている。日本では昨年あたりから人気タレントが企業やメディアとコラボしてSDGsを訴える活動が目を引き、5月にはTBSテレビが「地球を笑顔にするWEEK」と称してSDGsについて考えるキャンペーンを開催。現在も日本テレビが「Good For the Planet」と称して6月4日までSDGsを訴えるキャンペーンを実施するなど、引き続き注目度の高さがうかがえる。ただ、他国では環境に配慮した活動が注目されているものの、とりわけSDGsをプッシュすることはあまりないようだ。

 そもそも、SDGsは最近始まったものではなく、2015年9月の国連サミットで採択された。8年弱たつわけだが2022年に国際的研究組織「SDSN」が発表した達成度ランキングで日本は19位。1位はフィンランドで以下デンマーク、スウェーデン、ノルウェーと北欧が占め、5位にオーストリア、6位にドイツと欧州が続く。

 中でも環境大国と呼ばれるドイツは、2021年は同ランキングで4位という結果で達成率が高い国とされている。ドイツでは何か特別な活動をしているのだろうか。

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 ドイツでは2018〜2019年ごろから多くの企業がSDGsについて発信し始めた。ドイツ大手のチョコレートメーカー「リッタースポーツ」は2025年までの目標として製造の際の電力節約やパッケージを再生可能なものにするなど、環境に配慮した方法でチョコレートを製造することを発表している。また自動車メーカーの「フォルクスワーゲン」は2030年までに乗用車と小型商用車の二酸化炭素排出量を車両1台あたり30パーセント削減する目標を発表するなど、大手をはじめとした多くの企業がよりSDGsに沿った取り組みをしているのだ。

 一方で、企業がHPなどで告知しているもののSDGs達成に向けた取り組みを大々的にアピールしていない。ドイツ在住者の多くも実はSDGsという言葉を知らない人ばかりなのだ。在独日本人いわく「自分の周りの20人くらいの20〜40歳代の男女に聞いたが、SDGsというワードを全員が知らなかった」と話す。ドイツでは日本のようにテレビなどのメディアもSDGsをわざわざ取り上げることがあまりなく「はやりのように扱われていない」そうで、知らなくても当然なのかもしれない。

 ではなぜ、SDGsという言葉があまり広まっていないのか。それはドイツではSDGsにのっとったような環境に配慮する活動がSDGs採択前から続き、今さら言うまでもなくドイツ在住者にとっては普通のことからだ。

 例えば、SDGsの取り組みの一つとしてフェアトレード(公正な貿易)という、発展途上国で作られる原料や製品を適正な価格で継続的に購入するという仕組みがある。フェアトレードは特にチョコレート製造の際、カカオ生産国などで児童を安価で働かせることを防ぐことにつながるのだが、ドイツではすでに5年以上前から一般的なスーパーで見かけるほとんどのチョコレートやコーヒーにフェアトレードマークが付けられているのだ。

 また数十年近く前から都心、地方問わず街の至るところに大きな寄付ボックスが置かれていて、貧困地域などに寄付するための洋服などが入れられるようになっている。ボックスには子どもの洋服から大人の洋服、靴などが入れられ、人々は着古したり、サイズが合わなくなった洋服をここに入れるのだ。寄付だけではなく、いらなくなった洋服や子どものおもちゃを売るフリーマーケットも週末となれば街の至るところで行われている。フリーマーケットは趣味で行い、収益を寄付に回す人も珍しくない。

 さらにレジ袋は2016年から自主ルールにより有料化される前からレジ袋を持参することが当たり前になっていたが、現在はレジ袋がプラスチック製でなく紙製になっている。食品ロス削減を目的とし、パン屋やスーパーマーケットなどから廃棄食品を安値で購入できるアプリも浸透し、2020年ごろから利用者が増えているようだ。

 ドイツではSDGsをうたわなくともエコに対する意識は高い。ヨーロッパ市場の情報を発信しているサイト『AJT』の2023年3月の記事や、ドイツの購買行動を分析するサイト『GfK』の2023年2月の記事では、ドイツ国民の70パーセントが環境問題を深刻に捉えており、2021年からの過去5年間でドイツが持続可能な購買行動に向け、最も大きな変化を遂げた国であると伝えている。調査対象者(人数は不明)の31パーセントが商品購入の際に、環境・社会・経済面で持続可能商品のことを指す、サステナブルな商品を購入すると回答しているのだ。具体的にはリサイクル素材やオーガニックコットンを使用したTシャツやタオル、CO2の排出を抑えるなど環境に配慮して作られた食品などが挙げられる。価格はサステナブルでないものと変わらない、もしくは少し高い程度だが、サステナブル商品とそうでないものがあれば、サステナブルな商品を率先して選ぶそうだ。

 またドイツのコンサルティング会社『PwC』が18〜25歳のドイツ国民1000人を対象に調査したところ、調査対象者の約65パーセントが買い物をする際にサステナブルな商品を意識すると答えているという。同記事ではドイツのZ世代にとって洋服や化粧品を買う際に商品が持続可能であるかは重要なことであると伝えている。

 日本ではSDGsを広めようと政府やメディアが主体となって力を入れている印象だ。しかしドイツのように、力を入れずとも国民一人ひとりが当たり前のように意識するようになって初めてSDGsが現実的に達成に向かっていくのかもしれない。

記事内の引用について
「Going green in Germany: How sustainable brands can flourish in a growing eco-market」(AJT)より
https://www.teamajt.com/going-green-in-germany-how-sustainable-brands-can-flourish-in-a-growing-eco-market/
「Bleibt nachhaltiger Konsum 2023 relevant?」(GfK)より
https://www.gfk.com/de/presse/bleibt-nachhaltiger-konsum-2023-relevant
「Die Gen Z legt Wert auf Nachhaltigkeit beim Einkauf – und bei der Bundestagswahl」(PwC)より
https://www.pwc.de/de/pressemitteilungen/2021/die-gen-z-legt-wert-auf-nachhaltigkeit-beim-einkauf-und-bei-der-bundestagswahl.html
 
   

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