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よく耳にするけど…「司法解剖」と「行政解剖」はどう違う? 弁護士が解説

オトナンサー

例えば、食品衛生法64条1項は、「都道府県知事等は、原因調査上必要があると認めるときは、食品、添加物、器具または容器包装に起因し、または起因すると疑われる疾病で死亡した者の死体を遺族の同意を得て解剖に付することができる」、同条2項は「前項の場合において、その死体を解剖しなければ原因が判明せず、その結果公衆衛生に重大な危害を及ぼすおそれがあると認めるときは、遺族の同意を得ないでも、これに通知した上で、その死体を解剖に付することができる」と定めており、これは行政解剖にあたります。

監察医を置くべき地域では、死体解剖保存法に基づき、監察医が死体の検案や、検案によっても死因が判明しない場合に解剖を行います。監察医は都道府県知事に任命され、特に設けた解剖室(東京都監察医務院など)で解剖を行います。この場合、遺族の同意は必要ありません。

一方、監察医制度を設けていない多くの自治体では、遺族の承諾を得て解剖を行っています。

Q.つまり、「司法解剖」と「行政解剖」の違いとは何でしょうか。

佐藤さん「『司法解剖』は、犯罪によって死亡した疑いがある場合に、裁判所の許可を受けて行われる解剖です。目的も、犯罪捜査のために死因を究明することにあります。

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これに対して『行政解剖』は、犯罪性がない場合に、裁判所の許可なく行われる解剖です。目的は、公衆衛生の向上などにあります」

Q.「司法解剖」と「行政解剖」に関連する、特徴的な事例は。

佐藤さん「2023年5月18日、歌舞伎俳優の市川猿之助さんが、両親とともに自宅で倒れているのが見つかった件で、亡くなった父親の市川段四郎さんと母親について『司法解剖』が行われました。本件については、警視庁によって捜査が進められ、死因の特定が求められていましたが、司法解剖の結果、両親の死因はともに『向精神薬中毒の疑い』と報じられています。今後、薬物の特定や入手経路、摂取方法などについて捜査が継続される見込みです」

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