真っ白なキャンバス(演じる人物)にひとつの色(演技)を塗っていくのが俳優の仕事だとすれば、彼女は役柄によって色を使い分け、丁寧に仕上げていく。そこには、さまざまなテクニックが隠されていて、共演者とのケミストリーも生まれるーー。
2022年、清原の魅力が『霊媒探偵・城塚翡翠』『invert 城塚翡翠 倒叙集』にて、さらに爆発したが、その理由は明白だ。今回彼女が使っているのは一色ではない。探偵としての側面、チャーミングな側面、犯人に近づいて別人を演じる側面……と、赤色も青色も黄色もすべての色を使って多彩な「城塚翡翠」という役をまっとうしている。そうした清原なりのアプローチがあるからこそ、我々は彼女の演技に心を打たれるのだ。
これからも物語は続く。すでに清原の新たな代表作と呼び声高い本作にて、彼女は次に何色を描くのか。その答えを確かめるためにも『城塚翡翠』シリーズを見届けていこうと思う。(浜瀬将樹)