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ニッポンの土地「誰のものだったのか」大研究(2)藤原道長の“荘園長者”説に疑問符〈奈良~平安時代〉

アサ芸Biz

「長い間、藤原道長や摂関家は大量の荘園を支配して贅沢三昧の生活をしていたというのが通説のようになっていましたが、ここ10年くらいの高校生向けの歴史教科書を見ると、そうした記述は意図的かどうか、省かれています。道長に地方の荘園が寄進されたことは間違いありませんが、道長の日記『御堂関白記』などにも具体的な荘園のことは出てきません。近年になって、文献の研究が進むと、荘園を広げることにそれほど重きを置いておらず、実態はそれほどの量でもなかったということが明らかになってきたので、その辺りは教科書では曖昧にしておこうということかもしれません」

 大村大次郎氏は、道長が富を築いたのは、荘園以外の要素が大きいと言う。

荘園から税を徴収するのは国司の役目でしたが、次第に、国に一定額の税を納めたあとの残りの税を着服するような国司の腐敗が頻発します。

 この頃、右大臣で現在では学問の神様として知られる菅原道真は、娘婿を親王に即位させようと陰謀を企てたと無実の罪を着せられて大宰府に左遷されてしまいます。道真が、大宰府に行く時に詠んだ《東風吹かば 匂い起こせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ》はつとに有名です。しかし、左遷の本当の理由は、道真が国司の制度を改革する実行者だったため、既得権益を持つ貴族たちの反発を買ってあらぬ陰謀をでっち上げられて、左遷されたと考えられます。

 国司の持つ既得権益は、それほどおいしいものでしたが、国司になるには家柄や有力な貴族の後ろ盾が必要だったので、国司になろうとする貴族は、摂関家の藤原道長に賄賂を贈ったのです。道長は、荘園経営というより、そうした賄賂でその富を築いたのです」

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河合敦(かわい・あつし)65年、東京都生まれ。多摩大学客員教授。歴史家として数多くの著作を刊行。テレビ出演も多数。最新刊に「徳川家康と9つの危機」(PHP新書)。

武光誠(たけみつ・まこと)50年、山口県生まれ。東京大学大学院国史学科博士課程修了。文学博士。専攻は日本古代史、歴史哲学。「荘園から読み解く中世という時代」(KAWADE夢新書)など、刊行書籍340冊以上。

大村大次郎(おおむら・おおじろう) 国税庁調査官を退職後、フリーライターに。「お金の流れで読む日本の歴史」(KADOKAWA)「『土地と財産』で読み解く日本史」(PHP研究所)など著書多数。

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