うめづの店内には「トルネード焼き」というメニューが貼られており、これは同年までバファローズのエースとして活躍していた野茂英雄投手のニックネームにあやかったもの。バッターに背を向けてから身体を大きくひねって投げる「トルネード投法」は当時、日本中の子供が草野球で真似していたものだ。
そして極めつけはハンガーで吊るされた16番のユニフォーム。当時のバファローズを知るファンであれば誰しもが、この16番を背負った選手を神仏の如く崇めていたのである。
「1988~1995年に近鉄でプレーしたラルフ・ブライアントは、本塁打王3回の実績を持つホームランバッター。1989年には最終戦の対西武ダブルヘッダーで4打数連続ホームランを放ち、奇跡の逆転勝利を果たしたことは語り草です。その活躍によりファンからは《神様、仏様、ブライアント様》と崇められていたほど。現在のプロ野球に例えれば、ヤクルトファンが営む店に村上宗隆選手のユニフォームが飾ってあるようなものでしょうか」(スポーツライター)
地域性も時代性もきっちりと考証していることがうかがえる「舞いあがれ!」。ちなみにブライアントは今季から、北海道の独立リーグチーム「士別サムライブレイズ」で監督を務めており、日本に滞在中だ。いまや61歳となり選手当時の面影は薄いものの、ぜひカメオ出演してほしいと願う野球ファンも少なくないことだろう。