頼りになる男が、帰ってきた――。プロ7年目のサイド右腕・東條大樹は今季、セットアッパーとしてキャリアハイの成績を残している。前半戦だけで44試合に登板し、防御率1.69。オールスターにも初選出されたが、新型コロナウイルスの陽性判定を受けて出場辞退。7月23日の登板を最後にチームを離れ、復帰は約1か月後の8月27日。それでも、復帰後は離脱前と変わらぬ安定感で再びホールドを量産している。シーズン最終局面、その先のCSへ向け、“頼れる男”に今季ここまでを振り返ってもらった。
マウンドには“守り過ぎない”ことを意識して上がっています
――7月下旬から約1カ月の離脱。シーズン中にそれだけブランクが空くと、コンディション調整も大変だと思うのですが、現在の調子は?
東條 状態はかなり戻ってきました。とはいえ、当初はキャンプ前くらいの状態に戻ってしまった感覚があって、そこからコンディションを上げるのは苦労しました。
――とはいえ、1カ月の空白期間がありながらも今季はキャリアハイの数字を残しています。
東條 ストレートが良くなったのが大きな要因だと感じています。去年のシーズンが終わってから体幹トレーニングを重点的にやって、それがストレートの強さにつながっているんだと思います。
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――東條投手のストレートは、左打者のアウトコース、右打者のインコースにシュートしながら浮き上がる独特の軌道が特徴だと思うのですが、そこも意識している?
東條 いや、理想を言うときれいなバックスピンのストレートが投げたいです(笑)。ただ、投球フォーム的にもシュート成分が多く出るので、「勝手にシュートしている」というイメージですね。でも、それはそれでほかの投手とは違うストレートなので、自分の武器にはなっていると思います。
――今季はリリーフとしてかなり緊迫した場面での登板も増えています。マウンドに上がるときはどういうメンタルで投げているんでしょう。
東條 あまり守りに入り過ぎないようにしています。強気から一歩引きながら、でも守り過ぎないくらいのイメージです。
――たとえば9月12日の日本ハム戦では、ノーアウト満塁で登板して最初の打者をダブルプレー、次打者を内野ゴロという最高の結果でチームを勝利に導きました。ああいう場面では「打ち取り方」までイメージして投げるんですか?