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『響~小説家になる方法~』『乙女文藝ハッカソン』『ものするひと』……小説家が登場する漫画3選

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 SFやミステリーなど、登場人物の趣向に応じたさまざまなジャンルの小説が登場する本作では、各作品の内容がひとつの漫画として表現される。別々の人物が書く各作品はそれぞれに画風や台詞のフォントが異なるため、作品特有の文体を感じることができる。

 作中の言葉を借りるならば、小説作品を因数分解して最後まで消えない個性が「文体」だ。文章に表れる個性を画として描いた本作は、登場人物の書く作品を比較するなかで、各小説に存在する個性や固有の魅力に気づかせてくれる。

■『ものするひと』

 前述した作品は共に女学生が主人公として描かれる作品であったが、『ものするひと』の主人公は30歳の男性・杉浦紺。過去に新人賞を受賞した彼は警備のアルバイトをしながら小説を書きつづける人物である。

 知人と共に文壇バーでお酒を嗜んだり、街に並ぶ看板に書かれた文字を読み上げたり、知り合った女性と一夜を共にしたりーー。言葉のことを考えながら日々を過ごすひとりの作家の日常が淡々と描かれる作品だ。

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 ただ物語の中盤にて、自分の作品が賞に選ばれなかった日を境に、杉浦は物語を書かない生活を送るようになる。小説を書いていた時間をさまざまな行動で埋め、今までにない感情や気づきで満たされる日々。そんな日々を超えた先で、とある光景を目にした杉浦は再び書きはじめることとなる。

 作家特有の出来事もありつつ、コンビニではスティックパンとコーヒーを買い、ちょっとした不安を抱きながらアルバイトをして日々を過ごす杉浦。“「誰か」が信じて疑わない茫洋とした「普通」”を選ばなかった杉浦の境遇や感情、そして杉浦の生活は多くの作家に通じるものがあるはず。本作で描かれる杉浦の姿は、作品の向こう側にいる作家の姿を想像するきっかけを与えてくれると感じる。

 本稿で挙げた作品のほか、10代の少女と作家業を生業とする叔母が同じ屋根の下で暮らす日々を描いた『違国日記』など、小説家が登場する漫画作品は数多い。小説を読んだあとに得られるものや小説に表れる個性、そして小説を書く作家の姿を想起させてくれるこれらの漫画作品は、小説をより親しみやすいものにさせてくれるはずだ。

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