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世界一臭い「シュールストレミング」試食会 ネットで反響も…広まる誤解に町会複雑「真面目なイベントにしたい」

J-CASTニュース

東京都中野区の東中野5丁目小滝町会は2022年8月21日、「世界一臭い食べ物」などと評される缶詰「シュールストレミング」の試食会を開催する。

ツイッターでは「ものすごく行ってみたい」「臭いだけ嗅ぎに上京したくなってきた」などと大きな注目を集めているこのイベント。J-CASTニュースは、開催のねらいを小滝町会に取材した。

最初の一突きで2メートルほど噴出する可能性もある

シュールストレミングは、ニシンを塩漬けにして発酵させたもので、スウェーデン北部バルト沿岸の伝統的な食品だ。単体で食べる物ではなく、パンやマッシュポテトと一緒に食べることが一般的だ。「世界一臭い」などと強烈なにおいを発することで注目を集めているが、管理などの難しさから気軽に食べられない食材だ。

輸入代理店・三幸貿易が作成した取扱説明書によれば、密封された缶の中で発酵が進んでいくため、内圧が高まっていると最初の一突きで2メートルほど噴出することがあるという。さらには服や内装についた臭いは「取れない」と断言されている。また長時間温めると、魚をバクテリアが分解してしまうため「ただの悪臭がする液体」になるとしている。

開封だけでも危険が伴うとされるシュールストレミングの試食会を、なぜ実施することになったのか。小滝町会は取材に対し、こう説明する。

「町会員のひとりが大手通販サイト『アマゾン』で安売りされていたシュールストレミングを購入してしまったものの、開封できる場所が見つからず、岸哲也会長に『町会のみんなで開けて食べてみませんか?』と相談したことが発端です。岸会長から『せっかくだから多くの方が参加できる町会のイベントにしましょう』という提案があり、公開イベントとして企画することにしました」

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新宿の近くに位置する小滝町には多様な文化背景を持つ世界の人々が移り住んでいることから、町会では「多様性と包摂」を活動方針に掲げている。今回はシュールストレミングの試食を通して北欧の異文化理解を促進したいと意気込む。

町会が「シュールストレミング」を通して考えたいこと

イベントは8月21日、「『世界一臭い!?』を食べて、地球の未来を考えよう」という名前で開催される。会場は東中野区民活動センター。「世界一」を冠する食べ物を提供することで、多くの参加者を呼び込み「生涯忘れることができない思い出を作ってもらいたい」という。

さらに、次のようなねらいもある。

「偏見に繋がりがちな強い臭いに、スウェーデンの人たちの素晴らしい知恵と食文化が存在することを理解してもらう機会を提供したい。とりわけ若い世代に見た目や臭い、他人からの情報に惑わされず、自ら判断し、異質な文化や価値観を理解する体験をしてもらいたい」
「北欧食の哲学である『地元で取れる食材』『知恵を活かした調理・保存』というスタンスは、地球の持続性を取り戻す SDGs にも通じる考え。環境意識の高い北欧の政治や社会、食文化について学び、未来のために地域レベルで何ができるのかを考える機会にしたい」

さらには「嘲笑の対象になっている『シュールストレミング』について、多くの方に実際に食べてみる機会を提供することで、この優れた保存食にまつわる偏見を少しでも減らしたい」として、「人や特定の物、考えが、生来の特性により偏見に晒されることが少なくなることが理想」だと述べた。

イベントでは、欧州や北農の国々で進められているSDGsのための取り組みに関する講義やトークセッションを開催予定。環境保護や多様性について考えられる機会にしたいと意気込む。

どうやって食べるの?

イベントを企画するにあたり、町会は三幸貿易の協力を得て、スウェーデンから冷蔵輸送されてきたシュールストレミングを200食分用意したという。

「調理方法については、在東京スウェーデン大使館商務部から現地のレシピを提供いただいており、それに従い調理する予定です。具体的には、現地の薄切りパンに、マッシュポテトや玉ねぎなどを乗せ、そこにごく小さくスライスしたシュールストレミングを載せる予定です。北新宿の魚店『魚繁』と小滝町会の『岸由』が調理とアレンジを担当する予定です」
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