黒住さんは大野監督の前の作品は、ご覧になっていますか?
黒住:いや、観れるタイミングはめちゃくちゃあったんですけど・・・最初、共通の友人を介して声をかけてもらって、大野監督と話したり、打ち合わせを重ねていき、何回も観れるタイミングはあったんですけど・・・観てないです(笑)。
大野:(笑)。
大野監督の名前は知っていましたか?
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黒住:もちろん、名前は知っていました。自分の映画とか、他の自主映画とかで撮影している時とかも、カナザワ映画祭とかで大野監督は話題になっていました。「オモロイやつが何か出てきたらしい」って(笑)。だから、大野監督から声かけてもらったときも、オファー来た話を周りに話したら「あ、その監督、名前知ってる」っていう反応が結構ありました。
大野監督の前作はもっと奇抜で独自性の強い作品というイメージがある中、今回の作品は非常に真面目に展開される、しっかりとしたストーリーのある作品だと思います。最初の脚本や企画を観た時の印象はいかがでしたか?
黒住:台本読んだ時は・・・
大野:最初は企画書だったと思います。
黒住:一番最初は、新宿でお茶しながら話しましたよね。
大野:あれ・・・企画書とか送ってないかもしれないです。知人を通して、「こういうの撮りたいんです!」っていうのを黒住さんに伝えて、電話して「会いましょう」って感じで最初話したと思います。
最初から聖子さん役でのオファーだったんですよね?
大野:はい。
黒住:どのタイミングだったかはっきりとは覚えていないのですが、脚本を読みました。で、ト書きとかに書かれている大胆な演出とかが、演じるのが怖いなと思う部分もありました。もちろん面白いし、エネルギッシュだし、でも読んでいて、家庭の問題だったりとか、学校のシーンだったりとか・・・
結構辛辣に書くとこは書いていますよね。
大野:(笑)。
黒住:でも、そのバランスの感覚がすごく面白いなとは思っていました。自分が実際に演じるってなった時に、台本に書かれているキャラクターの年齢と自分の実際の年齢が離れているので、「大丈夫かな」「自信ないぞ」みたいな部分への不安もありました。
となると、最初に監督と会った時にはすぐに承諾できる感じではなかったんですね。
黒住:はい。監督と最初に会ってから、脚本を読んで、自分の不安要素みたいなのをもう一回電話で話し合いました。
大野:黒住さんから「聖子さん役が、できるか不安」っていう電話がきて、その電話でも色々と話しました。でもある日いきなり、「やってみる」って連絡がきたんです。
何か心境の変化があったんですか?
黒住:不安要素みたいなのを全部正直に監督に話しました。そしたら監督から「大丈夫!」って言われまして。大丈夫って言われてもね(笑)。でも、不安を伝えてもそんな感じだったので、「あ、やってみようかな」っていう感じで、オファーを受けました。
大野:確かに、大丈夫って言いました(笑)。
監督には坂ノ上さんと黒住さんの2人が並んで掛け合う完成形のイメージがあったんですね。
大野:いや、正直イメージは全然持ってなかったです。坂ノ上さんはオーディションで決めましたし、黒住さんはスカウトでのオファーですし。それぞれ役には合っていると思っていましたが、2人としてのイメージを持っているわけではなかったです。でも、カメラの前に立ってもらえば大丈夫だ、っていう自信だけは何かあったんですよね(笑)。
2人のバランスを考えたキャスティングというよりかは、それぞれのキャラクターに合わせた役者を選んだということですね。
大野:それぞれの役に合っているかどうかと、演技の振り幅をみてキャスティングしたという感じです。
編集に1年間かけたと最初に仰ってましたが、主にどの部分に悩んでいたんでしょうか?
大野:私は編集する際、結構粗探しをしてしまうんです。自分で何回も編集しながら、「あ、ここダメだ」「ここもダメだ」って何回も思いながら毎日編集していました。作品のリズム感が、途中で分からなくなったしまって、基軸を直すのがめちゃくちゃ難しかったです。結局、1分単位とか5分単位とかで観ても、全体の流れで観ないとそこが(調整したところが)どう活きてくるか分からないので、5分単位で直しても、90分の全体の映像をもう一回イチからチェックしないといけないんですよね。編集を重ねるたびに、どうなってくるかもう分からなくなってきて、まさにゲシュタルト崩壊。それがきつかった。必要な部分、必要じゃない部分って、切り分けながら削ぎ落としていく作業は結構苦しいです。好きなシーンとかたくさんあって、でもそれを削ぎ落としていかないと、この作品のテーマが簡潔に伝わらないなとか、引き算していく作業は大変でした。
そんな編集期間を乗り越えて、見どころだと思うシーンを教えてください。
大野:どのシーンも見どころなんですけど、最初の愛ちゃんと聖子さんの出会いのシーンや、ベンチで愛ちゃんと聖子さんが掛け合うシーンは、特にお気に入りです。たくさんの人に観てもらいたいです。あのシーンは脚本通りなのですが、この作品はアドリブしてもらったシーンがかなり多いです。
黒住:そうですね。多かったですね。
大野:アドリブが印象的だったシーンありますか?
黒住:それはもうあのシーンですね。保育園で、子役とのシーンで。あの日すごく暑かったんですけど。「女の子を泣かしちゃダメだよ」みたいに叱るシーンで、長ゼリフもありまして。ラブズッキュンのあの部分は、あれとかもう、やってみると何というか・・・とにかくすごく頑張りました!(笑)。ぜひ本編観て欲しいです。
大野:みなさん、ぜひ、劇場でご覧頂けたら嬉しいです。「愛ちゃん物語♡」よろしくお願いします!!!
取材・文: 久米修人 編集:Monica写真: 小島翔
●予告編
「愛ちゃん物語♡」 あらすじ
愛ちゃん(16)は、仕事人間であり毒親の父、鉄男に過度に束縛され、自由を知らずに成長した。父とは一緒に食事もせず、メールだけの仲。友達もおらず、オシャレも知らない愛ちゃんは、ある日偶然、聖子さんと出会う。文化も生活も異なる2人は一緒に過ごすなかで、家族のようで友達のような関係になっていく。しかし、聖子さんにはある秘密があって…
普通って何?家族って?愛って?ひとりぼっちだった愛ちゃんが見つけた「♡」とは?
出演:坂ノ上茜 ⿊住尚⽣ 松村亮 保⼟⽥寛 森衣里 林田隆志 西出結 上埜すみれ 竹下かおり 山根真央 大門大洋 及川欽之典 心結
監督・プロデューサー・脚本・編集:⼤野キャンディス真奈
撮影:澤⽊宥吾 ⼩島翔 呉⼤雅俊 ⼩畑智寛 ⽥村悠 助監督:Ryo Matsumura 竹井啓吾
制作担当:山口小百合 録⾳:⼩畑智寛 野⽊亮太朗 美術:博徒出陣さほこ スタイリスト:髙橋あみ
⾳楽:⽯川柚太 中島直樹 須藤佳帆 ポスターデザイン:古瀬彩香
アソシエイトプロデューサー:Monica 久⽶修⼈ 共同プロデューサー:和⽥有啓
製作:「愛ちゃん物語♡」作品チーム
配給:Atemo
2021♡ビスタ♡5.1ch♡DCP♡88min.
7/29(金)より、渋谷シネクイントにて1週間限定レイトショー公開!他、全国順次公開!
渋谷シネクイントHP:https://www.cinequinto.com/shibuya/