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“マジカルでクレイジー”。ジャン=マルク・ヴァレ監督が「C.R.A.Z.Y.」を語る

キネマ旬報WEB

Q:ボーリュー家には5人の息子がいますが、主人公のザックは突出していますね。

5人それぞれに魅力があります。ぽっちゃりしていても、瓶底メガネをかけていても、ボーリュー兄弟は、シャープで、クールで、セクシーです。ですが、特別な運命を背負っているのは、ザックと呼ばれているザッカリーです。母親は彼に、ヒーラーとしての特別な才能があると考えています。

Q:シャルル・アズナヴールの歌をことあるごとに歌う父ジェルヴェ、デヴィッド・ボウイに傾倒し、父のレコードを借りてDJを始める主人公ザック…。この一家はまさに、体の中に音楽があるようですね。

音楽は私が自分の映画にサインを加える手段の1つです。そこに特別な予算を準備し、編集室には200枚近いCDを持っていきました。私の父はラジオの番組編成の仕事をしていたんですよ。自分が好きな音楽を集めて、それを観客に聞いてもらうことに、大きな幸せを感じます。それはこの映画の登場人物たちが味わうのと同じ喜びです。音楽はこの家族全員を真に結びつけるものです。彼らの歴史は実は1枚のディスクに刻まれていて、それが歌であり彼らのアイデンティティでもあります。

Q:「C.R.A.Z.Y.」には、観る人をびっくりさせるような演出がありますね。

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ボーリュー家のイメージに似て、時には控えめで、時には爆発するような演出です。物語が前面に出てくるのを分かりやすく演出した場面と、ザックがふくらませた想像を見せる場面とのちょうどいいバランスを探りました。物語を豊かにするために、何でも試したいんです。このシナリオには、私が映画を深く探求できるような可能性がありました。映像や音楽、音声、編集で十分に遊ぶこと、スペクタクルを作り上げること。私は映画に心をつかまれ、驚かされ、混乱させられたり挑発されるのが好きなんです。夢を見て、笑い、泣き、2つのことを同時に味わいたい。リズムを乱したり、元に戻したり、速くしたりするのも好きです。

Q:そんな風に出来上がったこの映画を、どのように分類しますか?

そうですね。ファンキーでセクシー、慎ましく、おかしくて衝撃的で、魔法のようで、“クレイジー”な映画だと思います。

 

ジャン=マルク・ヴァレ監督

 

 

Story

1960年代の保守的な家庭で、5人兄弟の四男として育ったザック。「特別な子」と呼ばれた彼は、軍で働き音楽を愛する父親と過保護気味の母親、文武に秀でた兄2人、問題だらけの次男を観察しながら幼少期を過ごす。やがて思春期に差し掛かった1970年代、ザックは同性に惹かれ始めた自らのアイデンティティと、男らしくあれという父親の価値観との間でもがき始めるが……。

 

「C.R.A.Z.Y.」

監督:ジャン=マルク・ヴァレ
出演: ミシェル・コテ、マルク=アンドレ・グロンダン、ダニエル・プルール
2005/カナダ/フランス語、英語/カラー/129分 映倫:PG12
後援:カナダ大使館、ケベック州政府在日事務所
原題:C.R.A.Z.Y. 配給ファインフィルムズ
© 2005 PRODUCTIONS ZAC INC.

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