圧縮比が高いエンジンのメリット・デメリット

メリット デメリット
©tamayura39/stock.adobe.com

メリット

エンジンは、発生した燃焼エネルギーの多くを排出ガスの熱として捨てます。圧縮比(膨張比)を高くすればするほどピストンが下降する間に燃焼ガスは膨張して排出ガス温度が下がり、捨てるエネルギーが減るため、その分仕事量が増えます。このように考えると、圧縮比(膨張比)が高ければ熱効率が高いということが理解しやすくなります。

デメリット

ガソリンエンジンの圧縮比

ガソリンエンジンの圧縮比を上げるとノッキングが発生してしまうことは上述しました。

ではノッキングの発生を抑えるためにどのような手法が採用されているかというと、燃焼室形状の最適化や、未燃ガスの温度を下げるために燃焼室の冷却性を向上させることです。

過給エンジンの場合はピストンで圧縮する前にすでに吸気が過給によって圧縮されています。したがって圧縮後のシリンダー内温度が高くノッキングしやすいため、圧縮比は8〜9程度と低く設定されます。その分、燃費は悪くなってしまいます。

ディーゼルエンジンの圧縮比

ディーゼルエンジンの圧縮比についても前述した通りです。

ガソリンエンジンに比べて圧縮比が高いので、熱効率が高く、燃費が良くなります。

しかし、圧縮比が高いために有害ガスNOx(窒素酸化物)が排出されやすく、またエンジン各部が頑強な構造になるためフリクションが大きくなります。

最近はNOx低減やフリクション低減のため、圧縮比を15以下に下げたディ-ゼルエンジンが出現しています。圧縮比を下げると圧縮温度が下がり着火性が悪化するので、低温始動性や燃焼安定性を改良する技術が必要です。

圧縮比14を実現したマツダの「SKYACTIV-G & D」

SKYACTIV-G
SKYACTIV-G
SKYACTIV-D
SKYACTIV-D

2010年当時、圧縮比は12程度が限界でした。しかし、「SKYACTIV」技術の中核をなす「SKYACTIV-G(ガソリン)」と「SKYACTIV-D(ディーゼル)」は、ともに圧縮比14を実現して、世界のエンジン技術者に衝撃を与えました。

「SKYACTIV-G」はノッキングの発生を抑えて圧縮比を14まで上昇させ、熱効率を大幅に向上させました。一方の「SKYACTIV-D」は、燃焼形態と低温始動性を改良することによって圧縮比を14まで低下させ、NOx(窒素酸化物)とPM(微小粒子状浮遊物・Particulate Matter)を同時に低減して、NOx触媒を使わずに現行の排ガス規制をクリアしました。

マツダ SKYACTIV-Xエンジンはどこが世界初?搭載市販型が発売決定!

(広告の後にも続きます)

エンジンの圧縮比を上げる方法は?

ミニカー
©Schlierner/stock.adobe.com

エンジンの圧縮比を上げる方法として、「エンジン内部のパーツを交換する」、「圧縮比アップ用のエンジンキットを組み込む」などと素人には難しく、本格的なエンジンチェーンが必要になります。

さらに圧縮比を上げすぎるとエンジンが高温になり、異常燃焼してピストンが溶けたりガスを圧縮する時に今まで以上の力が必要になります。それにより高回転があまり回らなくなって最高速ダウンしてしまうことも。

エンジンパワーアップは総合的なカスタムやチューンナップが大切です。圧縮比アップを検討する場合は注意しましょう。

自分でエンジンルームを洗浄する方法【洗車の注意点とポイント】