タイヤのスキール音とは?

タイヤとメガホン
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車の急発進時や急停車時、又はコーナリング中に「キーーッ」や「クォーーッ」などという音を耳にしたことはありませんか?その甲高い音がタイヤのスキール音です。

スキール音の発生源は、タイヤのトレッド(路面に触れる部分)と路面との間で留まりと滑りが繰り返されることによって発生する、スティックスリップと呼ばれる自励振動です。

(自励振動とは、振動させる力が作用していないにも関わらず、摩擦によって誘発される振動のことです。)

俗にびびりとも呼ばれており、ゴムの劣化等でワイパーが「びびる」のも同じ現象です。

タイヤが限界を超えたときの悲鳴=スキール音

きついカーブを速い速度で曲がるとタイヤが「鳴く」これがスキール音の代表です。

タイヤの性能以上の速度でカーブを曲がる時に発生するスキール音以外にも発生する原因があります。この記事ではこの点にスポットライトを当ててご紹介します。

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スキール音発生の原因は?

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スキール音を鳴らしている人は運転が下手?

タイヤのスキール音が鳴らないのが、運転が上手な走り方、きれいな走りだと思われる方が多いのですが、実はそれは誤解です。

モータースポーツの世界では、わずかにスキール音が出るぐらいのスリップ率が最大限にグリップしていると言われています。

ただし、普段の公道走行においていつもスキール音が出る走り方をしている人は、タイヤの不具合や劣化が原因かもしれません。周囲への迷惑を考えても、公道ではスキール音は鳴らないほうが良いでしょう。

また、道路の状態や道路の舗装によっても、スキール音が出てしまうことがあるので、「スキール音を鳴らしている人=運転が下手」とは必ずしも言えません。運転下手を疑うより、まずはタイヤの状態を確認をしましょう。

経時変化によるタイヤの硬化

音が発生する原因として、タイヤの経年劣化が考えられます。

タイヤのゴムは、オゾンや紫外線にさらされるだけでも劣化します。少し乱暴な例えですが、古い輪ゴムが切れやすかったり、硬くなっていたりするのと同じです。

輪ゴムよりも遥かに過酷な環境下での仕事を強要されるタイヤのゴムには、劣化を抑制する老化防止剤が含まれています。

しかし、その老化防止剤はタイヤ専用洗剤等で過度な洗浄をすると、汚れと共に落ちる事になります。又、ゴムは油が付着したまま放置すると変質する為、油性のタイヤワックス等でも悪影響を受けてしまいます。

このようにダメージを受け続けると、タイヤのしなやかさが失われてしまい、ヒビ割れや異音が生じる原因になります。

空気圧の不足

次に、タイヤの空気圧の低下が考えられます。

空気中に2割程含まれる酸素は、タイヤの分子に取り込まれたり、すり抜けたりしている為、空気圧は徐々にではありますが自然に低下してしまいます。

もしもタイヤが少し潰れたように変形していれば、空気圧が不足しています。自動車メーカーから指定された空気圧よりも少ないとタイヤのたわみが大きくなり、異音が発生しやすくなります。

その他の原因

その他に、マンホールの上や地表の滑らかな立体駐車場等でもスキール音は発生することがあります。

こうした摩擦係数の低い場所でのスキール音は、タイヤに問題が無くても起こる現象ですので、気にする必要はありません。

また、グリップ力の低いコンパウンドを使用している安価なタイヤほど、スキール音が発生しやすい傾向にあるようです。(タイヤのコンパウンドとは、天然ゴムや合成ゴムに炭素やオイルなどの添加剤を配合した複合ゴムの事で、トレッド部に使用されています。)