JALでは日本から毎日3便の直行便が出ている常夏の国シンガポール。空に浮かぶ船のような巨大ホテル「マリーナベイ サンズ」や人工樹の「ガーデンズ バイ ザ ベイ」など、煌びやかな未来都市といった印象がありますが、この記事でご紹介するのはシンガポールに古くからあるもう一つの街並み、カラフルな「ショップハウス」です。英国統治の時代に登場してから180年近く。今も住み続けられているレトロ可愛いショップハウスを一緒に巡ってみませんか。

シンガポールの昔を感じて、カラフルな長屋風の店舗住宅へ

ショップハウスとは、1階が店舗、2~3階が住居となった店舗住宅のこと。隣同士で壁を共用し、それが連なり長屋のようになっています。1階部分に幅約5フィート(約152cm)の共有廊下が続いているので、通称「ファイブ フット ウェイ(Five-foot way)」とも。アーケードになった長い廊下は、南国の熱い陽射しや大雨のスコールをさえぎる役目も果たしています。

ショップハウスが登場したのは1800年代半ば。当初は中国沿岸部からの移民が多く暮らすシンプルな建物でした。海洋貿易の拠点として発展していたシンガポールでは富裕層も増え、彼らはヨーロッパの装飾様式を取り入れるなど、自らのショップハウスを美しく飾り立てるようになったのです。

特に、マレー半島近辺に定住した中華系やインド系などの移民家系に伝わる独特の生活文化は華やかで美しく、彼らの色鮮やかなショップハウスは「プラナカンハウス」と呼ばれています。

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下町エリアの「ペタイン ロード」にある洋菓子のように華麗なショップハウス

下町エリアの繁華街・ジャラン ベサール地区の「ペタイン ロード(Petain Road)」に、まるでデコレーションケーキのように華麗な装飾が施されたショップハウスがあります。

アイボリー色のショップハウスの正面を彩るレトロおしゃれな窓や色ガラス、柱を飾る優雅なレリーフ、花模様のタイルで埋め尽くされた壁。初めて見た際、誰もがその華麗さにため息が出るでしょう。

ここを訪れたら、軒先であるファイブ フット ウェイで佇んでみましょう。少し埃っぽさもありますが、郷愁感の方がずっと上回ります。

淡いピンクや緑や青といったプラナカンカラーの壁と、白黒の床タイルとのコントラストが、まるで古い映画のワンシーンのようで美しいフォトスポット。

柱や窓枠には花や鳥などの中華装飾もあり、建てられた1930年代当時の、東洋と西洋の文化が融合した装飾様式を見ることができます。

ショップハウスから2分ほど歩くと、商店や飲食店が並ぶ「ジャラン ベサール通り(Jalan Besar)」に出ます。下町のこの辺りも、豪華なショップハウスや花柄のタイルが突然現れ、発見が楽しいエリア。

通り沿いには食堂も多いので、ローカルグルメもぜひ。

ペタイン ロードのショップハウス(Shophouses at Petain Road)

アクセス:地下鉄(MRT)Farrer Park駅下車 徒歩8分、Jalan Besar駅下車 徒歩13分