全長3m以下!? めちゃ小さいトヨタ製「マイクロ・クーペ」実車展示! 小回り最強の「斬新モデル」の正体とは

「東京オートサロン2024」ではトヨタ自動車 豊田 章男会長の愛車として、トヨタ「iQ」の本格スポーツ仕様車が展示されました。全長3m以下と他に類を見ない斬新なモデル iQとは、一体どのようなクルマなのでしょうか。

軽自動車よりも小さい「不思議なクルマ」

 2024年1月12日から14日まで幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された「東京オートサロン2024」では、TOYOTA GAZOO Racingとレクサスの合同ブースに、トヨタ自動車 豊田 章男会長の愛車が複数台展示されました。
 
 その中でも特に人目を引いていたのが、全長3m以下という超コンパクトサイズの異色モデル トヨタ「iQ」の本格スポーツ仕様車です。
 
 この異彩を放つiQとは、一体どのようなクルマなのでしょうか。

 かつては“保守的”と思われた時代もあるトヨタですが、その歴史を振り返ると、むしろチャレンジングなコンセプトのクルマを数多く世に送り出していました。

 中でも「コンパクトさ」を極限まで追究した斬新なモデルが、先述のコンパクトカーiQです。

 2008年に発売されたiQは、マイクロクーペと呼ばれる小さなボディサイズが特徴の乗用車。

 そのボディサイズは一般的な軽自動車よりも短く、全長2985mm×全幅1680mm×全高1500mm。くわえて車両重量は890kgと、文字どおり「超コンパクト」な車体が特徴です。

 さらに、ただ車体が小さいというだけではなく、しっかりと4人が乗車可能という「超高効率」なパッケージまで実現した革新的な構造を採用していました。

 当時はヨーロッパを中心に「マイクロカー」の開発が盛り上がっていたこともあり、トヨタでも「トヨタならでは」のマイクロカーの開発に着手。

 まずはコンセプトモデルである「iQコンセプト」が作られ、2007年のフランクフルトモーターショーに出展されました。

 これが好評を得たこともあって量産化が決定し、2008年10月のパリサロンで市販モデルをお披露目。翌11月に販売が開始されました。

 iQはコンパクトなボディゆえの取り回しの良さも特徴のひとつで、最小回転半径は当時世界最小レベルである3.9m。

 これにより狭い道でも走りやすく、Uターンも容易と、シーンを問わず扱いやすいことが魅力でした。

 また、シートの薄型化やダッシュボードの配置を最適化するなどの工夫によって車内空間を広げており、コンパクトでありながらも先述のとおり4人乗りが可能。

 もちろん大人4人だと圧迫感は否めませんが、家族3人程度であれば全く苦にならない十分な広さを実現していました。

 パワーユニットには、最高出力68馬力を発揮する1.0リッター直列3気筒DOHCエンジンを搭載。CVTのトランスミッションを組み合わせることで、スムーズな変速を可能としています。

 この1.0リッターエンジンは過給器などを装備していないため、決してパワフルなクルマではありませんでしたが、2009年のマイナーチェンジで94馬力の1.3リッターエンジン搭載モデルを追加。

 これにより、車体サイズや重量にとって十分なパワーも手に入れました。

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しかし主力モデルには成長はできず……

 このように斬新かつ個性的なコンセプトを詰め込んだiQは、2008年11月にグッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)を受賞。

 さらに「日本カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれるなど、多方面で高く評価されました。

 また、レース仕様にチューンされたり、ハイスペックな限定モデルが追加され完売したりと、トヨタはiQの魅力を訴求すべく精力的な展開を行いました。

 しかし、当時はマイクロクーペというコンセプトが斬新すぎたのか、トヨタの想定以上にユーザーに受け入れられず、また同じトヨタ車の「ヴィッツ」など販売上のライバルとなるコンパクトカーが多かった時代背景もあり、残念ながらiQは大ヒットとはなりませんでした。

 最終的にiQは、ヴィッツやパッソなどに統合される形で2016年に販売終了を迎えてしまったのです。

※ ※ ※

 軽自動車よりもさらにコンパクトな普通乗用車 iQは、性能的にも大きなマイナスとなる点はなく、コンセプトも魅力的なクルマでした。

 残念ながら1代のみで消滅してしまいましたが、 先述のように豊田 章男会長がマイカーとして愛用しているように、実際に乗ったことのある人からの評価は高くなっています。

 現在、中古市場での価格も手ごろなモデルですので、希少なマイクロクーペに興味を持った人は中古車サイトで探してみてはいかがでしょうか。