2024年WRC開幕、伝統の一戦が雪と氷のフランスアルプスで始まる【ラリー・モンテカルロ プレビュー】

2024年1月25日(現地時間)、WRC世界ラリー選手権第1戦ラリー・モンテカルロが開幕する。ラリーは雪と氷を含むフランスアルプスの山岳地帯のターマック(舗装路)を舞台に行われ、28日にモナコ・モンテカルロでフィニッシュする。 ここ2年、トヨタが連続で3冠タイトルを独占しているが、ヒョンデ、Mスポーツ・フォードは今年この状況にどう対応してくるのか。今シーズンの行方を占う意味でも重要な開幕戦が始まる。

王者ロバンペラのスポット参戦で混戦必至のタイトル争い

トップカテゴリーがハイブリッドユニットを搭載する「ラリー1(Rally1)」となって3シーズン目、今シーズンはテクニカルレギュレーションに大きな変更はないが、ポイントシステムには抜本的な変更が加えられた。

そのポイントシステムは、まず土曜日終了時点の総合順位に基づき、1位から10位までの選手およびマニュファクチャラーに18-15-13-10-8-6-4-3-2-1ポイントが付与される。ただし、これらのポイントを獲得するためには、日曜日も最後までステージを走りきる必要がある。それとは別に、日曜日に総合1位から7位に入った選手およびマニュファクチャラーに7-6-5-4-3-2-1ポイントが付与される。さらに、これまでと同じようにラリー終盤の「パワーステージ」では、トップ5タイムを記録した選手とチームに対し、最大5ポイントのボーナスが与えられる。

フルポイントで1イベント最大30ポイントを獲得できるのは従来と変わらないが、このポイントシステムにより土曜日までに大きな差をつけていても日曜日にペースを落とすことができなくなり、また土曜日までにトラブルなどで順位を落としても、日曜日にパワーステージのボーナスポイントを含め最大12ポイントを稼ぐことが可能となり、ラリー最終日となる日曜日がよりエキサイティングになると予想される。

トップカテゴリーに参戦するチームも、トヨタ、ヒョンデ、Mスポーツ・フォードの3強という図式で変更はなく、マシンもそれぞれ昨年のアップデートとなる。

ただし、ドライバーズタイトル争いは、2年連続王者のカッレ・ロバンペラ(トヨタ)がフルタイム参戦しないことで大きく変わってくることになりそうだ。トヨタはエルフィン・エバンスと勝田貴元が全戦に出場。3台目のGRヤリスのシートを、セバスチャン・オジェとロバンペラがシェアする。開幕戦のラリー・モンテカルロではオジェがエントリーする。

トヨタの最大のライバルとなるであろうヒョンデには、オイット・タナックが復帰し、ティエリー・ヌーヴィルとの2枚看板が復活。3台目のマシンをダニ・ソルド、エサペッカ・ラッピがシェアする強力な布陣となる。

ラリー・モンテカルロの優勝候補としては、オジェ、エバンス、ヌーヴィル、タナックらの名前があがるが、今シーズンのドライバーズタイトル争いとなると、まだまったくわからない。

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ターマックの路面を氷や雪が覆うステージが多いラリー・モンテカルロ

では開幕戦ラリー・モンテカルロのコースを見ていこう。過去2年間、ラリー・モンテカルロはモナコのサービスパークを中心に行われてきたが、2024年はサービスパークをフランス南部のギャップに拠点を戻すことになった。

ギャップはフランス・アルプスに囲まれた風光明媚な町で、氷や雪が路面を覆う山岳地帯のターマック(舗装路)ステージが増えることになる。この時期のフランス・アルプスは天候が変化しやすいためタイヤ選びは難しく、ドライ用、ウエット用、雪道用のスタッドレスタイヤ、金属製のスタッド(スパイク)が埋め込まれたスタッドタイヤなど、様々なタイプのタイヤがこのラリーには用意される。

ラリーの幕開けを祝うセレモニアルスタートは、これまでと同様モナコで行われ、25日木曜日の午後はセレモニアルスタートに続いて、ギャップの近郊でデイ1として2本のナイトステージが行われる。

金曜日のデイ2は、ギャップの東側でミッドデイサービスを挟んで3本のステージを各2回走行。土曜日のデイ3も同様のフォーマットとなり、ギャップの西側エリアで3本のステージを各2回走行する。

最終日となる日曜日のデイ4は、早朝ギャップのサービスパークを出発した後、クラシックステージの「ディーニュ=レ=バン/ショドン=ノラント」、有名なチュリニ峠を含むパワーステージの「ラ・ボレーヌ=ベジュビー/コル・デ・チュリニ」を走行し、モナコでフィニッシュを迎える。

ラリーは4日間で17本のステージを走行し、その合計距離は324.44km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1649.89kmが予定されている。