奈良春日大社「春日若宮おん祭」一日中続く神事芸能と1,000名の風流行列

世界遺産「春日大社」は全国の春日神社の総本社

「古都奈良の文化財」を構成する8つの資産の1つとして、世界遺産に登録されている春日大社。

年間2,200ものお祭りをしており、その中で有名なお祭り「春日若宮おん祭」について、この記事では紹介いたします。

重要無形民俗文化財「春日若宮おん祭」

春日若宮おん祭は春日大社の摂社「春日若宮」よりお旅所へ若宮神をお迎えし、さまざまな芸能を捧げる祭礼です。


摂社「春日若宮」

平安時代の保延2年(1136年)からおん祭がはじまり、2023年は888年目を迎えました。


頭屋児(とうやのちご)はお渡り式を検知する役目

華やかな風流行列がみどころで、興福寺旧境内の奈良県庁前広場から出発し、近鉄奈良駅など奈良市内を練り歩きます。

能舞台によく松が描かれていますが、その松は春日大社の一之鳥居にある「影向(ようごう)の松」。このことからも日本古来から芸能と結びついていると感じるお祭りです。


影向の松

影向の松の前では、「松の下式(まつのしたしき)」という田楽や舞楽、猿楽などの神事芸能も見られます。

1,000名の風流行列「お渡り式」

最初にやって来たのは明治以降お渡り式に加わった「前行行列」。子供達が可愛らしい装束を着て歩いてきます。

御所車や五色幕の掛かった榊車、壺装束を着た方と雅な行列が進みます。

神事芸能が目白押し「松の下式」

前行行列のあとは古式ゆかしい風流行列がやってきます。一番から十二番までの芸能集団や祭礼に関わる人たちです。

第一番 日使(ひのつかい)

日使は行列の中心人物。黒の束帯をまとい、藤の造花を冠に飾っているのが特徴です。

「日使」という名前は関白の藤原忠通がおん祭に向かう途中で病気になったため、お供の楽人にその日の使いをさせたことが始まりと言われています。


梅の白枝と祝いの御幣

日使に続き、祭礼で使う御幣などが美しく飾られて通っていきます。

凛々しい少年たちの姿は、寒さの中にも爽やかな春の風を感じます。


十列児(とおつらのちご)

通り過ぎる姿を眺めていると、馬のお尻に可愛いマークがついているものも。なにか微笑ましい光景でした。


馬のお尻に模様が入っているのもあって可愛い(祭の前に撮影)

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第二番 巫女(みこ:神子/拝殿八乙女)

春日大社では巫女を伝統的に「ミカンコ」と呼んでいます。

他に「辰市神子」「八嶋神子」「郷神子」「奈良神子」の4名も馬に乗って進んでいきます。