やわたんまちが令和初の通常開催!神輿、山車、お船が練り歩く館山の秋祭り

千葉・館山の秋祭り

千葉県の南部で、房総半島の先端付近に位置する館山市。市内西部に面する館山湾から太平洋を舞台に漁業が盛んに行われ、名物の「なめろう」や「さんが焼き」があるように豊富な水産品が水揚げされる街です。また戦国時代には「南総里見八犬伝」でも知られる戦国大名の里見氏の拠点として発展してきました。この館山で毎年敬老の日前の土日曜日に開催されているお祭りがあります。「やわたんまち(八幡祭)」です!

やわたんまちは安房国総社の鶴谷八幡宮の例大祭として開催されているお祭りで、安房国司祭とも称されます。総社とは旧令国制の時代に旧国内(今回の場合は安房国)の複数の神社の御祭神をまとめてお祀りした神社のことで、東京都の大國魂神社や茨城県の常陸國總社宮(やわたんまちと同時期に「石岡のおまつり」を開催している)等も総社の神社です。多くの神社との関わりのある神社ということで、そのお祭りが大きなものとなることは間違いなし。やわたんまちの場合は、4台の山車と1台のお船が出て、さらに10基のお神輿が渡御するという安房地域最大のお祭りになっているんです。それでは令和に入って初、5年ぶりの通常開催となった「やわたんまち」初日の様子をご紹介していきます!


お祭り当日の鶴谷八幡宮拝殿の様子。

八幡宮での神輿振

やわたんまちの中心となる鶴谷八幡宮へとやってきました。こちらの創建は平安時代初期と言われ、現在の地に遷座してきたのは鎌倉時代と伝わっています。鎌倉時代といえば源氏の時代ですが、この頃から源氏の氏神である八幡宮として祀られるようになったそうです。ちなみにやわたんまちの名の由来は「八幡の祭り」からきているという説があるんだとか。参道へ目を移すと社殿への長い道のりには露店が立ち並び、のぼりが掲げられているのが良いですね!

やわたんまち初日の見どころの一つは、鶴谷八幡宮境内で行われる「神輿振(みこしふり)」!鶴谷八幡宮へと入祭(宮入の館山での呼び方)した10基のお神輿が次々に「もみ」、「さし」を繰り広げていく様子は圧巻です。こちらは緑が特徴的な、木幡神社のお神輿の入祭の様子。大きなお神輿ですね!ちなみに入祭する10基のお神輿は、安房神社、洲宮神社、下立松原神社、手力雄神社、山宮神社、山荻神社、莫越山神社、木幡神社、高皇産靈神社、子安神社のものとなります。

早速境内では勇壮に「もみ」が行われていきます。やわたんまちに参加するお神輿の特徴は、前後に長く伸びる担ぎ棒。通称「二本棒」と呼ばれるもので、都内のお神輿のような横棒は無く、二本の棒のみで担いでいきます。そして二本の棒だからこそできるのが「もみ」で、ダイナミックに波に乗っているかのように左右に揺らされていく様子には目を惹かれます!

社殿前では「さし」が行われました。その名の通り、お神輿が空高く差し上げられていきます!この「もみ」と「さし」を合わせた「神輿振」が、やわたんまちに欠かせない光景となっているんです。

一通りの神輿振を終えたお神輿が、社殿横にある御仮屋へ。入祭を無事済ませたお神輿は、こちらに留め置かれ一夜を過ごします。

続いては、鶴谷八幡宮の子ども神輿の入祭が。子どもたちが元気よく社殿目指し進んできます。

社殿前へと到着し、神輿振を見せていました。

社殿から参道方面を見渡すと、とても賑やかになっています。下立松原神社の入祭です!

猛ダッシュで社殿前まで駆けつけてきました。この走りも見どころなんです!

青い鉢巻の男衆に担がれた下立松原神社のお神輿。先に入祭を済ませた安房神社、洲宮神社と共に南三社に数えられています。奥に見える社殿は、鶴谷八幡宮境内にある安房神社遥拝殿です。

下立松原神社も勢いよく「もみ」を行っていきます。

もうお神輿の屋根が地面についちゃうんじゃないかという神輿振ぶりです!

社殿前でも盛り上げます。

再び安房神社遥拝殿前で。

気合いが入りますね!

最後にもう一回社殿前で差し上げられました!

鳥居を出て境内の外に出ると、お囃子と共に進んでくるお神輿の姿が。しかも2基が並んで渡御しています。

と思ったら、鳥居前で4基が合流しました!これは活気があります。

お神輿が近づいたり離れたりというのもなかなかの見応え。

鳥居前で差し上げるお神輿があったり。

2基で揉み合うお神輿が現れたりと目が離せません!

白木で作られた山萩神社のお神輿。夕日に照らされ美しいですね。

一歩前に進んだ山宮神社のお神輿が鳥居をくぐりました。

くぐったかと思ったら、猛ダッシュのはじまりです!

たくさんの人で賑わう参道をものすごいスピードで社殿目掛けて真っ直ぐに進んできました。

参道に連なるお神輿が見られる瞬間も。このお祭りが盛大に開かれている雰囲気が嬉しくなりますよね。

さあ、山萩神社の入祭です。

こちらもダッシュで駆け抜けていきます。

そのまま社殿前に進み、「さし」が行われました!

山宮神社も入祭して社殿前へ。奥では「もみ」を行う山萩神社のお神輿の姿も。

山萩神社の「もみ」は、どんどん振り幅が大きくなっています!

そして2基が横並びになっての「さし」です。

そのまま「もみ」まで。眼前での2基同時の神輿振は迫力満点です!

広い場所に移動しても振りまくっていきます。

やわたんまちならではの神輿振の光景。たまりませんね!

山車・お船も練り歩く

やわたんまちと一緒に開催されている、北條神明神社例大祭(通称:ほうじょんまち)。翌日には鶴谷八幡宮への入祭を行う4台の山車と1台のお船が練り歩く姿も見逃せません!北條神明神社は旧北條村の総鎮守で、神明町、南町、六軒町、三軒町から山車が、新町からお船がお祭りに合わせて繰り出されます。


北條神明神社に並ぶ山車。

16時半頃、神社での祭典を終えた各町の山車とお船が次々に出発していきます。その出発の仕方がものすごいんです!ちょうどやってきたのは六軒町の山車。

もうこれでもかという猛スピードで鳥居をくぐり飛び出していきました!

神明町、三軒町の出発の様子は動画でご覧ください!

出発の瞬間はものすごい迫力でしたが、普通に巡行している時は落ち着いています。

と思ったら、またダッシュがはじまりました!館山はお神輿も山車も走りまくるのですね。

山車の引き手には女性もたくさん参加していました。赤鉢巻が良いですね。

前方から登場したのは、新宿のお船。神明丸です!

山車のすれ違い時には、こんな叩き合いが見られる場面も。出会い頭にお互いの担当者が握手するのも名場面です。

またしても猛ダッシュで駆け抜けていく六軒町。

日の入りを目前に小休止を取るお船の姿もありました。

暗くなりはじめたところで、山車とお船の提灯に灯りが点けられていきます。

提灯の明かりでさらに雰囲気が出てきますね。

提灯に照らされながらの競演

暗くなったところでここからは新宿神明神社を中心に南町交差点から新宿踏切の間を山車とお船が行き交い、その競演を楽しみことができますよ。こちらは南町と新町の競演。響き合うお囃子の音色が良いですね。

三軒町と神明町は付いたり離れたりしながら叩き合う!

六軒町と神明町の組み合わせもありました。

六軒町は存在感がものすごいです。

六軒町は、こんな爆速を披露する場面もありました!

南町と新宿は走って踏切を渡っていきます。

女性陣が軽やかなお囃子を奏でていく神明町。

子どもも元気よく太鼓を叩いていく南町。

一通りの巡行が済んだ山車とお船は、新宿神明神社前に一列に整列となりました。留め置かれた山車の上には神像が出現します。南町は神武天皇が神々しく登場。

神明町は神功皇后です。

六軒町は猛々しく楠木正成。

三軒町は武内宿禰でした。

19時過ぎからは新宿神明神社社殿前で解散式が執り行われ、やわたんまち初日、ほうじょんまちは無事の終了に!

まだまだお囃子は鳴り響かせられていますが、順次各町へと山車とお船が帰っていきました。

アクセス

■館山駅まで

・東京駅から高速バスで約1時間50分。JR総武本線・内房線乗り継ぎで約2時間40分

・羽田空港第一ターミナルから高速バスで約1時間30分

・安房鴨川駅からJR内房線で約40分

■館山駅から鶴谷八幡宮(一の鳥居)まで

・徒歩で約16分

・日東交通バスで館山駅前から八幡神社前まで4分


館山駅東口ロータリーを駆けるお神輿。山車が駆け回ることもあります。

毎年敬老の日前の土日曜日に開催されている「やわたんまち」。ぜひ安房地域最大の歴史あるお祭りを見に来てみてください!