前回は、今が旬の沖縄・粟国島(あぐにじま)でのギンガメアジ撮影について解説しました。マニュアル撮影の部分が少し難しかったようで、何人かの方から簡単設定でお願いしたいとリクエストをいただきました。そのため今月は初心者にも分かりやすく、簡潔な撮影手法で解説していきます。

7月に入るとエキサイティングな粟国シーズンが終わり、沖縄は本格的な夏へと季節は移ります。慶良間も恩納村も透明度が上がり、沖縄らしさが満点の「真っ白い砂と生き生きとしたサンゴとのコラボ」を狙うのに最高の時期なのですが、渡名喜島(となきじま)の「緑の絨毯とオレンジ色の小さな魚の群れ」もピークを迎えます。この光景は世界のダイブサイトを探しても珍しく、渡名喜島の特有のシーンと言われています。というわけで今月は、渡名喜島のワイドの撮影の楽しみ方を解説していきます。

渡名喜島のダイビングポイント「五六ノ崎(ぐるくのさき)」とは

まずは渡名喜島のロケーションですが、那覇から北西の海上約58㎞に位置し、北に粟国島、南東に慶良間列島、西には久米島と、沖縄本島と周辺離島の中心にあります。面積は3.84平方㎞、 周囲12.5㎞、人口は360名ほどで、渡名喜島と入砂島の2島から成っています。

黒潮がまともに当たる渡名喜島では年間を通じて慶良間諸島より透明度が高いことが多く、「渡名喜ブルー」と呼ばれる、澄んだ濃い青の海が魅力の一つです。私の所属する写真教室のクルーザーで那覇から80分の距離です。渡名喜島のダイビングポイントの中でも「五六ノ崎(ぐるくのさき)」ではスターポリプと呼ばれる蛍光グリーンに光るサンゴが一面に広がり、その周囲をキンギョハナダイ、ハナゴイ、アカネハナゴイなどの色とりどりのハナダイの仲間たちが乱舞するシーンに出会えます。広い渡名喜島の中で、唯一このシーンを見られる場所が「五六ノ崎」なのです。

五六ノ崎

私のチームでは、この魅力的な光景を試行錯誤して一枚の作品に仕上げるために、一日3ダイブすべてのダイビングで「五六ノ崎」に専念して徹底的に攻めています。大潮から小潮など潮汐、太陽の差し込む角度、雨天や晴天など太陽のパワーの違いなど、環境によって最適な撮影の方法やアプローチの仕方を日頃から研究しています。2022年は一年間で50日を超える渡名喜島遠征を行ったほどです。

また「五六ノ崎」はワイド撮影だけではなく、マクロ撮影も楽しめるダイビングポイントです。ワイド撮影と同じ場所で、綺麗なハナダイの仲間、ハゼ、ソフトコーラルなどのマクロ撮影もじっくりと楽しめます。そういった背景から一つのダイブチーム内で、ワイド撮影者とマクロ撮影者が混在できる珍しいダイビングポイントとも言えます。また、スターポリプ以外にも色鮮やかなソフトコーラルが広がるエリアやカスミチョウチョウウオが群れるエリアなどもあり、多彩な被写体は撮影者を飽きさせません。

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「五六ノ崎」での作例(OLYMPUSデジタルカメラ&AOIハウジング使用)

使用する撮影システムは、小型軽量でコンパクトデジカメであるTGの撮影システムを回り大きくしたサイズ感に似合わない実力を持つ「OLYMPUSデジタルカメラ&AOIハウジング」。センサーサイズが小さいマイクロフォーサーズ機ながら、フルサイズ機に負けない解像感と透明感のある画像が特徴的です。「いつかは、コンパクトカメラのTGから一眼へのステップアップを!」と考えている方に価格も手頃で携行にも困らないサイズの撮影システムは、性別、年齢を問わずすべてのダイバーの方におすすめです。

操作が簡単な水中ワイドモードで撮影したスターポリプ

カメラ

OKYMPUS EM-5MKⅢ

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL8mmFishEyeF1.8PRO

撮影モード

水中ワイド

絞り値

F5.6

シャッター速度

1/125

露出補正

-1.3EV

ホワイトバランス

水中/+1STEP(R)-2STEP(G)

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -7

フラッシュ

ON/RC (M:1/4)

ISO

200

ストロボ

UFL-2×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

清水のメイン撮影システムOM-1で撮影したスターポリプとアカネハナゴイ

カメラ

OM SYSTEM OM-1

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED12-40mmF2.8PRO

撮影モード

P(プログラムオート)

絞り値

F4.0

シャッター速度

1/250

露出補正

-0.7EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -2

フラッシュ

ON/RC TTL:-1.7EV

ISO

200

ストロボ

AOI Q1RC×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

オレンジゾーンと呼ばれるソフトコーラル群生地

カメラ

OLYMPUS E-M5 MarkⅢ

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL12-40mmF2.8PRO

撮影モード

水中ワイド

絞り値

F5.6

シャッター速度

1/200

露出補正

-4.0EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -5

フラッシュ

ON/RC TTL:-0.3EV

ISO

200

ストロボ

UFL-2×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

水底45mまで一気に落ちるヘビードロップオフに咲くソフトコーラル

カメラ

OLYMPUS E-M5 MarkⅢ

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED8mmFisheyeF1.8PRO

撮影モード

水中ワイド

絞り値

F5.6

シャッター速度

1/250

露出補正

-3.7EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -5

フラッシュ

ON/RC TTL:-0.3EV

ISO

200

ストロボ

UFL-2×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎

カスミチョウチョウウオの群れは普通に見られる

カメラ

OM SYSTEM OM-1

レンズ

OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED8mmFisheyeF1.8PRO

撮影モード

P(プログラムオート)

絞り値

F8.0

シャッター速度

1/250

露出補正

-1.7EV

ホワイトバランス

水中

仕上がり

水中

ハイライト&シャドーコントロール

HI 0,MID 0,SHA -4

フラッシュ

ON/RC TTL

ISO

200

ストロボ

AOI Q1RC×2

撮影地

渡名喜島/五六ノ崎