東京は信号機が多すぎる? 赤信号で時間ロス 燃費悪 都内の運転がどれだけ不合理か

東京は信号機の数が日本一。押しボタン信号の数も多く、とにかく赤信号に捕まるため、クルマにとってもシビアです。東京でクルマを運転することは、それ相応の時間ロスと負担がかかります。

信号機の多さは日本一の東京

 東京都内で走る都内ナンバーのクルマは、だいたい「シビアコンディション」だと思っていい--とあるカー用品店の担当者からこう聞いたことがあります。

 シビアコンディションとは、クルマにとって“より厳しい使用状況”のこと。部品やオイルなどの劣化が早まることがあり、通常よりも頻繁なオイル交換などが必要とされます。走行距離が多い、逆に短距離走行が多いなど個人の使用状況にも左右されますが、「低速走行や信号待ちが多い」、つまり都市部での使用が多いことも、これに該当する場合があるとされます。もちろん、こうした環境は燃費にも大きく影響します。

 日産が2016年に、キャンペーンの一環として、こんなタイトルの動画を作成しています。「信号大国ニッポン」。日本は世界的に見ても信号が多いといいます。

 なかでも東京都内の信号機の数は、その当時もいまも、日本一です。同社の検証チームが、渋谷から本郷まで走ったら、1時間のうち22分が信号待ちだったそう。2021年度末時点での都内における信号機の数は、1万6002基で、2位の愛知県を約3000基上回ります。

 愛知県の面積は約5173平方キロメートルですが、東京都は約2194平方キロメートルしかありません。1平方キロメートルあたりの信号機の数を比べれば、愛知の約2.5基に対し、東京はおおよそ3倍の約7.3基です。ちなみに人口あたりで比べると、愛知県は約750万人なのに対し、東京は約1.9倍の約1400万人ですから、いかに東京で信号機が多いかが分かります。

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信号で意図的に止めてるケースも

「赤信号で止められることが多い」

 こうした意見に、警視庁は「信号の連動に問題がある場合には、見直しを検討」するとしつつ、次のように答えています。

「交通量や交差点形状等に応じて信号の時間が異なることから隣り合う信号機で連動させることが困難な場合もあります」

「交通事故防止対策として、規制速度を超える高い速度で走行する車両が多く確認される道路では、信号調整により意図的に車両を停止させる道路もあります」

 このような傾向は、新しい道路ほど当てはまるかもしれません。

 たとえば、調布市から西東京市の埼玉県境までを南北に結ぶ都道「調布保谷線」は、2016年に全通した、大部分が4車線の幹線道路で、環八通りの外側の南北軸として利用されています。

 この路線、鉄道交差部は立体になっているものの、道路とは全て平面交差で、歩行者用の押しボタン信号が多いことも特徴。昼間にクルマで走ると、信号2、3基ごとに必ず止められます。特に都道の場合、新しい道路は歩行者、自転車などにも優しい設計を重視する傾向があります。

 警視庁に聞いたところ、都内の歩行者用押しボタン信号の数は約5000か所。うち、「夜間押しボタン式」は約半数の2362か所だそうです。夜間押しボタン式の場合、昼間は押しボタンの呼び出しに関わらず、定期的に青になり、クルマは赤信号で止められます。

 前出した日産の調査は、電動パワートレインをもつ「ノート e-Power」のPRで、電気の走りならば、ドライバーのストレスを減らせる可能性がある、とうたったものでした。信号機の多さは、歩行者や自転車を含め、あらゆる交通の安全を考えた結果といえますが、都内でクルマを運転するのは、相応のストレスと時間ロスを覚悟したほうがよいのかもしれません。