「速達便」と「疲労回復便」の2つの顔
目黒川ルートはまさに「移動手段+ちょっとした観光」という印象でしたが、一之江ルートは所要時間が長く、「一刻も速く家に帰りたい」という人のための交通ではない印象でした。ただ逆に、「家に帰るまでに、一日の疲れを回復しておきたい」という人にとっては、多少時間をかけても、落ち着いた気分で過ごして家に近づけるという、「新たな形の帰宅手段」なのかもしれません。
西葛西から旧江戸川を遡っていくクルーズ船。都心の喧騒が嘘のように、周囲も水面も闇に包まれています。はっと「家に近づいてきたんだ」と気付かされる瞬間です。アフター5の気分でいたら、いつの間にかもうすぐ自宅。そんな通勤スタイルを、東京都は「澄んだ空気、ゆったり開放的な舟旅通勤いかがでしょうか」として、定着を図ろうとしています。