高速道路の通行止めが3時間超え=「ただごとではない」? 生じる義務 動く組織 どうなるのか

高速道路を3時間以上通行止めにするような事故は「重大事故」とされます。この3時間という数字、道路管理の現場にとっても、業務が大きく変化するひとつの基準になるようです。どういうことなのでしょうか。

通行止め3時間を超える「重大事故」 どうなる?

 トラックなどの事業用自動車が「重大事故」を起こした場合、その事業者は国へ事故報告書を提出しなければなりません。その、提出が義務付けられる事故の種類のひとつに、「高速自動車国道又は自動車専用道路において、3時間以上自動車の通行を禁止(=通行止め)させたもの」という項目があります。

 

 実はこの3時間という基準は、道路管理者側から見ると別の側面があります。高速道路管理会社であるNEXCOには、高速道路の通行止めは原則3時間以内までという“ルール”があるのです。

 あるNEXCOのOBに話を聞いたところ、通行止めが3時間を超えると、高速道路の通行止めの権限が高速道路の「管理者」から、名目上は高速道路の「保有者」に移るからだそう。どういうことなのでしょうか。

「高速道路を管理しているのはNEXCOですが、保有しているのは高速道路保有・債務返済機構(通称:高速道路機構)という独立行政法人です。高速道路を通行止めする権限は両方の組織が持っているものの、開始から3時間まではNEXCOの権限を、3時間を超えると高速道路機構の権限をそれぞれ行使するという名目で通行止めをします。そうなると、通行止めに3時間以上かかった原因について、NEXCOが検証作業をして機構に報告する必要が出てきます」。

 その検証作業によって、通行止めに3時間かかってしまった原因を特定し、次回通行止めする際に前回の反省点を活かして作業の合理化、効率化を図るといいます。

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「機構」がなぜ出てくるのか

 なぜ機構が権限を代行するのかというと、高速道路を3時間以上も通行止めするのは社会的責任が大きく、高速道路の保有者である機構が最終的な責任を負うからだそう。そもそも高速道路保有・債務返済機構とは一体どんな組織で、NEXCOとはどのような関係なのでしょうか。

 高速道路はもともと日本道路公団をはじめとする4つの公団(ほか首都高速、阪神高速、本州四国連絡橋公団)によって管理・運営されていましたが、2004年に解体され、新たに設立された高速道路保有・債務返済機構が旧公団の借金を引き継いで道路資産を保有、新会社NEXCOが道路の維持・管理をするという機構と会社の協力体制が取られることになりました。

 機構は高速道路をNEXCOに貸し付けて賃貸料を徴収し、その賃貸料を財源として旧公団の債務と高速道路の建設などで新たに発生する債務を法律で定められた期限内に返済していく役割を担っています。機構の最終目的は債務の完済です。そのため、機構としては高速道路がどのように管理・運営されているかについても責任があり、こうした通行止めのルールが存在するというわけです。