春のサクラマスジギングでにぎわう三陸沿岸地域では6月に入ると、いよいよ待ちに待ったイカ釣りシーズンが始まります。まずは新子のスルメイカであるムギイカ釣りがスタートします。
イカの成長スピードは早く、ひと潮ごとに大きくなるといわれており、三陸沿岸部で活発にエサを追いかけ急速に成長します。なかでもスルメイカは湾内で産まれたのち、成長とともに外海に生活の場を移しながら大きくなっていきます。釣りシーズンは年ごとに好不調がありますが、例年なら冬至のころまで長く楽しめるのがイカ釣りです。

今回はそんなスルメイカをルアーフィッシングとして手軽にねらう、スルメイカジギングをご紹介したいと思います。

7月中旬に早速、スルメイカジギングを楽しんできた



やわらかくて食べて美味しいムギイカ釣りも楽しいのですが、スルメイカ特有の強い引き込みを楽しむなら、やはり大きく育ったスルメイカの方が釣り味はよいです。そんな思いから、6月中の釣行は控えていました。そろそろスルメイカが大きくなるタイミングの7月中旬から2回ほどスルメイカ釣りに行ってきました。

ご存知の通り、三陸沿岸の夏イカ釣りは夜間に船に集魚灯を灯して釣る夜イカ釣りです。その釣り方はさまざまで、大きく3つの釣法があります。定番のプラヅノを使用したイカサビキ釣り、ライトなタックルと手返しのよい短いリグを使用するイカメタル釣り、そして今回ご紹介するジギングなどがあります。
それぞれの釣法にメリットがあり釣りの楽しさは共通していますが、なかでもスルメイカジギングの人気のポイントは、ルアーフィッシング本来のスピーディさ。タックルの手軽さや手返しの速さです。そして、一般的なイカ釣りのイメージとは異なり、魚を誘って刺激して掛けていくといった攻めの釣りスタイルがスルメイカジギングの面白さだと考えます。

 



釣行した日は数こそ多くは釣れませんでしたが、ジグをメインに釣りを展開。スルメイカジギング本来の楽しさを堪能することができました。また、イメージ通りのゲーム展開で釣りができたので楽しく充実した釣行となりました。

乗船前はイカメタルで繊細なイカのアタリをとって掛けて…とゲーム展開を考えていましたが実釣ではその肝心のアタリが出ない! これではどうにもなりません。そこで鉛スッテをイカジグに交換。たったこれだけでスルメイカの反応は大きく変わりました
ジャーク後のポーズ、イカジグが潮に馴染んだタイミングで素直にスルメイカからのアタリがロッドティップに現れます。それまで鉛スッテを使用していた時間帯とは明らかに違ったスルメイカの反応でした。

私なりの考えですが…。イカジグはジャーク時に大きくスライドします。そしてフォール時にはヒラヒラとアクションしてスルメイカに大きくアピールし、惹きつけます。鉛スッテとイカジグを比較すると、鉛スッテの単調になりがちな上下のアクションよりもイカジグの方が格段に強くスルメイカを惹きつけることで、ポーズ時のアタリがより明確に出るのではないかと考えています。
パターンにハマると自分の思ったタイミングでスルメイカのアタリが出るので、集中力が高まり、よりアタリに対応して掛けることができるようになります。当日も自分が思う理想のタイミングで強めのアタリが出る、入れ乗りの時間帯がありました。



また、スルメイカジギングでは「リグをよく動かし、アピールを強めに演出する」ことが大切です。スルメイカの攻撃性を強く刺激することでアタリが明確となります。
スルメイカは派手好きで行動は活発、攻撃的かつ好戦的。釣り当日もそんな私のイメージ通りの反応を見せてくれ、セオリー通りの攻略で数を伸ばすことができました。自分のイメージと実釣での反応が重なり合うことで、ロッド操作にもキレが出てよく釣れるものです。この日はそんな日でした。そして、改めて私のスルメイカに対するイメージが間違っていなかったとも実感できました。

たくさん釣れることは確かに楽しいことですが、釣果が全てではありません。新しい発見で釣りの引き出しが増えていくのは大きな充実感を得れますね。

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スルメイカの性格を踏まえた攻略のヒント



1年を通して、いろんな種類のイカをねらって釣行を重ねていますが、イカの種類ごとに性格が違っていて面白いものです。
スルメイカの釣りを通して感じられるイメージは攻撃的で活動的、興奮しやすくスグに怒ってしまう印象です。派手好き、好奇心旺盛といったイメージもスルメイカにはピッタリではないでしょうか。スルメイカ釣りを経験した方なら、釣り上げたイカがゲソを大きく広げて威嚇するような行動や腕に張り付かれてカラストンビ(イカのクチバシ)でかじられそうになった経験もあるかもしれません。私も2回ほど、手の甲に張り付かれてかじられたことがあります。こんな経験からもスルメイカの気性の強さを感じます。

これらのスルメイカの性格は海の中での生態と大きく関わっているように感じます。

●外洋での生活を好み、行動範囲が広い●動きは魚並みに素早く獰猛●素早く動くベイトに好反応●運動能力が高い

伝わりやすいよう魚でたとえるなら、スルメイカは青物の行動と似ているのではないでしょうか。こういったスルメイカの性格、生態を考慮すれば、ほかのイカとは少し違ったアプローチ方法が効果的だと気づかされます。

ちなみにヤリイカは控えめな性格で繊細。集魚灯の灯りに対して上下の移動は少なくて、いつもボトム付近に固まる傾向が多いです。
ケンサキイカはヤリイカよりも活発に動き回り、釣れるタナがコロコロと変わります。好奇心旺盛でスッテに対して好反応、といった感じでしょうか。



スルメイカは上下左右、縦横無尽に動き回り、こちらからタナを探るというより派手な動きでリグを動かしているとスルメイカの方から寄ってくるといったイメージです。これまでのことを踏まえると、スルメイカ攻略のヒントは「ルアーの素早い動き」「イレギュラーなアクション」「広範囲に素早くレンジを探る」といったところでしょう。
メタルスッテのようにレンジを刻んでイカのいるタナを探して攻略する釣り方よりも、広範囲を素早く探り、活発に動き回るスルメイカにリグを見つけさせて抱かせる方が釣りの展開がスピーディ! スルメイカの動きに対して理にかなっていると考えられます。