かつては「イズミダイ」とも呼ばれ、回転寿司をはじめとした食品業界で重宝されていた魚・テラピア(※)。そんな食用魚として輝いていたスターダムな日々はとうの昔、今や“得体の知れない魚”としてぞんざいな扱いを受けることが多く、釣りの対象魚としても「?」な存在です。んが、しかし! ルアーでねらえば「ゲームフィッシュ」としての片鱗を垣間見ることができる…かもしれない!?

※標準和名「ナイルティラピア」はスズキ目カワスズメ科に属す淡水魚。似た魚のカワスズメ同様、外来種の魚です

Q:どんな水域に生息して、どんなエサを食べているの?
A:温暖な地域の中流域~河口部に群生する『雑食の極み』

私が住んでいる沖縄県は周囲360°が海に囲まれているので、いろんな魚が釣れるだろう…と九州以北にお住まいの方々は想像されるかもしれませんが、実はけっこう難しいのです。オカッパリのルアーフィッシングならば、なおさらかもしれません。
というのも、沖縄県(今回は本島に限る)は大雑把に言えば珊瑚礁でできた島で、沿岸部には遠浅の珊瑚礁が広がり、魚たちが身を潜めるには格好の場所です。しかし、オカッパリで釣りをする側の立場になれば、根掛かり多発地帯なのでとても厄介です。正直、ルアーフィッシング初心者に沖縄でのオカッパリゲームはオススメできません。


沖縄の都市河川で釣れた、25cmクラスのテラピア。九州以北でも温泉が出ている地域の河川や水路には、テラピアの生息が確認されています

そこで、ルアーフィッシング初心者にオススメしたいのが、沖縄本島の河川ならばどこでも見ることができる『テラピア』です。テラピアの原産地はアフリカとされていて、基本的には温暖な気候を好む傾向にあり、日本において沖縄はテラピアが生息するには格好な地域といえるでしょう。

そんなテラピアの食性は雑食のようで、小魚や甲殻類などの生物はもちろん、木の実や草など、水中に漂っているものなら何でも口にする勢いです。
「何でも食べるなら、ルアーで釣るのもかんたんじゃない?」という声が聞こえてきそうですが…意外とそうでもないんです。確かにパンを丸めてエサにすれば、子どもでもかんたんに釣れてしまうこともあります。ただ、他魚種同様にルアーとなると話は別で、私の経験上、ルアーの種類に対してとても“セレクティブ”な感じがします。そこで、オススメのルアーセレクトを含めて、タックルの選び方から話を進めましょう。

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Q:テラピア釣りに使えるルアー用タックルって、どんなの!?
A:ミディアムライトのスピニングタックル&PE0.6号ならどこでも使える


●ロッド:トラギアTIPTOP C636ML改スピニング仕様(エイテック) ●リール:アルテグラ2500(シマノ) ●ライン:PE0.6号&フロロカーボンリーダー6~8lb ●ルアー:①1.0gフェザージグ ②2.5~3gスプーン ③Xスティック1.2g(リセント) ④セニョールトルネード(ザクトクラフト)

上の写真は実際に私が使用しているタックル&ルアーですが、ロッドはテレスコピック式6ft3in(6フィート3インチ)のスピニングタイプで、ミディアムライト相当のパワーがあります。そして、リールはスピニングの2500番にPE0.6号6~8lb(ポンド)リーダーを巻いています。

ルアーはエリアトラウトゲーム用がメインで、1g以上のフェザージグ、2.5~3gのスプーン、そしてスティックタイプのルアーになります。ルアーのフックはすべて太軸仕様に交換していますが、その理由は後述します。
「エリアトラウト用ルアーを扱うには、タックルバランスが強すぎるのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、もちろんそれなりの理由があります。沖縄でテラピアが生息している河川(ほぼ、どの河川でも姿を確認できます)はほとんどの場合、足場がとても高くてランディングに苦労します。ネットを携帯すればよいかもしれませんが、それよりも身軽さを優先してライトに楽しみたいのが本音です。


沖縄の市街地を流れる典型的な河川の例。写真のように高さ2~3mのコンクリート護岸が多く、ランディングはテレスコピック式ネットを使うか、引き抜くかのどちらかになります

そこで、少しパワフルなタックルを使うことで、ランディングの際に30cmクラスなら問題なく引き抜くことができます。ルアーのフックを太軸仕様に交換するのも、引き抜くときに曲がってしまうのを防ぐ目的があります。また、PEラインも0.6号ならば、1gのルアーも“それなりに”飛ばすことができ、テラピアを誘えるだけの距離なら十分に取ることができます。