日本語には、使用されているうちに意味が変わり、もともとの意味とは違った使われ方が主流になってしまった言葉がたくさん存在している。「四十八手」という言葉も、そのひとつであることを知っているだろうか。

「いきなり四十八手なんて、何を言っているんだ」と、もとの意味を知らない人には思われるかもしれない。しかしこの言葉、本来はとあるスポーツに関する意味を持った言葉なのだ。

本記事では、ついついちょっと変なことを想像してしまう「四十八手」の語源について迫ってみよう。

■四十八手、何を想像する……?

あなたは、四十八手と聞いて何を想像するだろうか。

この言葉の本来の意味は別にあるのだが、アダルト用語として認識している人がほとんどではないかと思う。実際、インターネットで「四十八手」を検索してみるとそっち系のサイトが上位を占めるので、筆者の推測はそう間違っていないだろう。

しかし、四十八手という言葉は単なるアダルト用語ではない。実は、もともとは今の使われ方とは関係ない、別の意味を持った言葉であったのだ。

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■四十八手の本当の意味とは

それでは、四十八手の本当の意味とは何なのだろうか。ちょっとした豆知識として知っておくと、場を盛り上げる話題の種となってくれるかもしれない。

四十八手はもともと相撲用語

四十八手は、もともと相撲業界で使われていた用語である。

相撲における取り組みの決まり手を四十八手と呼び、投げ手12、掛け手12、反り手12、捻り手12の、合計48手としていた。主な決まり手である「寄り切り」や「押し出し」などは、相撲をよく知らない人でも聞いたことがあるだろう。

この決まり手を整理したのは江戸時代であったが、江戸の寛文時代には土俵外へ出す技で勝敗を分けるようになっていたため、あまり実用されていなかったと言われている。

なお、実際の相撲の技名はさらに多く、さまざまな流派を含めると300手を超えることもあったそうだ。四十八手でも覚えられるか自信がないものだから、300以上もの技名なんて、把握するだけでも気が遠くなりそうだ。

どうして「四十八手」と言われるようになったの?

実際は無数にあったと言われている相撲の決まり手。そもそも、どうして“48”という数字が使われるようになったのだろうか。

日本では、古くから48という数字は縁起がいいとされてきた。その理由ははっきりとしていないが、「阿彌陀如来が修行時代に、一切の衆生を救うために48の誓願を立てたこと」が由来しているという一説がある。

そこから、縁起がよくてたくさんの数字を表す48が使われるようになったのではないかと考えられている。なお、四十八手の48は正確な技の数を表すというよりも、非常に数が多いことを示す意味合いが強いという。