都市部で見かけることがある、自転車のイラストと矢印が描かれたマーク。「自転車ナビマーク/自転車ナビライン」と呼ばれるものであり、自転車の安全な通行を促すために設置されています。

似たようなものとして「自転車専用」と書かれた道路もありますが、それぞれ違いがあるのでしょうか?また、自転車ナビマークの設置は、どのような効果があるのでしょうか?

自転車ナビマーク上をバイクやクルマが走っても問題ない

自転車ナビマーク
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このマークは、自転車が通行すべき部分と進行方向を示しているものです。「自転車ナビマーク」は主に車道の左側端に設置され、自転車のイラストと矢印が描かれています。「自転車ナビライン」は主に交差点とその付近に設置され、青色の矢印となっています。

警視庁交通規制課によると、「自転車ナビマークや自転車ナビラインは、自転車の通行方法をわかりやすく伝えるものです。このマークは法定外表示ですので、車両などが通行したとしても違反ではありません。」とのこと。

法定外表示とは、法令として定めはないものの、交通事故の防止等に有効であるなどの理由で設置されるもので、道路標識などの効果を明確にしたり、運転者への注意喚起に用いられます。

つまり、これらのマークは『自転車はこの場所をこの方向に走ってください』というヒントを与えるだけのものといえます。

ひと目見ると、いかにも「自転車優先(専用)」のような印象を受けますが、実は法的効力はなく、”自転車保護”の意味もありません。そのため、自転車以外が通行しても何ら問題はなく、バイクやクルマで走行したとしても違反にはならないようです。

【注意】自転車専用通行帯はバイクやクルマでの走行は原則NG

自転車専用通行帯
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自転車ナビマークや自転車ナビラインと似たものとして、「自転車専用通行帯」があります。

こちらは法令で定められているものであり、例外はあるものの自転車はこの通行帯以外を走行することはできません。加えて、バイクやクルマでの走行は原則NGです(左折時や一時的な停車の場合は進入可能)。

クルマの場合は車幅もあることから、自動車専用通行帯を走行することは難しいでしょう。しかし、バイクの場合は走行ができてしまうため、知らずに走行し違反となったケースもあるようですので注意が必要です。

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自転車ナビマークの効果はある

警視庁は、平成29年度に自転車ナビマークの整備効果について検証しています。

自転車関与の人身事故は9.8%減少、歩道を走行する自転車は4.6%減少、自転車ナビマーク・自転車ナビラインを走行する自転車が4.7%増加、車道を逆走する自転車交通量は44%減少という結果が出ています。

こういった結果からも、法的効力がないとはいえ、自転車の逆走防止や走行位置の確認に役立つことは間違いないでしょう。自転車も「走るべき場所」が分かりますし、ドライバーも「自転車が通る道」と認識するため、注意喚起にもなるはずです。

自転車ナビマークは”安全”なのか

しかし、この自転車ナビマークや自転車ナビラインは自転車事故の防止に一定の効果は期待できますが、一概に安全とは言い切れない部分があります。

自転車は車道の左側端を走行するわけですが、当然ながら車道はクルマも走っています。自転車を追い越すためにクルマが急接近することもあり、『交通量が多い場所だと怖いかもしれない』という意見があるのも事実です。

実際に自転車ナビマークに沿って自転車に乗っていた人が、後ろから追い越してきたクルマと接触しそうになり、トラブルに発展してしまったケースもあります。さらに、駐停車しているクルマがあれば、自転車はそれを避けるために膨らんで走行するため、クルマとの衝突事故の危険性も否定できません。

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現実問題として、道路交通法などによって規定されている自転車の通行方法と、現在の道路事情がマッチしていないという問題もあるように思えます。本来であれば、自転車専用通行帯のような”自転車専用レーン”を整備することが望ましいはずですが、東京などの都市部の道路状況では整備が難しいのかもしれません。

とはいえ、現実的な対策として「自転車ナビマーク」や「自転車ナビライン」の設置によって、自転車の通行場所・方向を明示し、クルマ側に注意喚起することに一定の意義はあるでしょう。クルマ・自転車の双方がお互いに配慮することで、安全な走行環境を作ることにつながります。

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