飲酒運転は数ある道路交通法違反行為の中でもとりわけ罰則の重い違反の1つです。しかし、これと同じくらい罰則が重い違反行為に「過労運転」というものがあります。いったいどのような運転が「過労運転」に該当するのでしょうか?

過労運転で取り締まりを受けることはある?

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過労運転は、正常な運転ができないほど疲労しているにもかかわらず車両等を運転する行為です。道路交通法第66条1項では「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態」とまとめられています。

病気や薬物の影響が運転に出ている場合は判断しやすそうですが、過労とはどのような状態を指すのでしょうか?道路交通法や道路交通法施行規則を確認しても、過労運転は厳密に定義されていません。

実際に取り締まりを行っていた警察官は、「私が取り締まりをしていた限りでは過労運転で取り締まることはありませんでしたが、ふらついた運転をしている運転手を見つけたら声を掛けていました」と話します。

つまり、車の動きがふらついていたり、反応が鈍かったりする場合、警察官が声をかけてくる可能性があるということです。

しかしこのようなこのケースは、事故を未然に防ぐ目的での声かけを行うのみで、取り締まりや検挙の目的があるわけではなく、注意のみで終わることがほとんどでしょう。もちろん声かけの結果、飲酒や薬物使用が疑われる場合は、さらに事情を聴取される可能性もあります。

可能性が高いのは、居眠り運転で交通事故を起こした場合。原因が過労だと判断されれば、過労運転として検挙される可能性は十分考えられます。

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過労運転には酒気帯び運転と同じ重さの罰則が

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居眠り運転の場合、居眠り運転安全運転義務違反に該当し、違反点数2点・反則金9,000円となるのに対し、過労運転は行政処分と刑事処分の両方が科されます。

行政処分では、点数制度に則って違反点数25点が累積されます。検挙された時点で違反点数0点・行政処分前歴無しだとしても、25点の累積によって免許取消処分(欠格期間2年)です。

刑事処分では、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます(道路交通法第117条の2の2)。

つまり、居眠り運転で交通事故を起こし、なおかつ過労運転と判断された場合は、とても重い罰則が科されてしまうのです。

参考までに、呼気アルコール濃度が0.25mg/L以上の酒気帯び運転の違反点数は25点で、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。つまり過労運転と酒気帯び運転は同等の重罪だとわかります。

過労状態での長時間運転は居眠り運転につながるおそれがあります。また、正常な判断力や安全な車の操作ができないほど疲れていると、思わぬ交通事故につながる可能性も。

運転に集中できていないと感じた時には一旦運転を中断して休憩を取る、あるいは任意保険が適用される同乗者に運転を代わってもらうようにしましょう。

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