リジッドアクスルサスペンションの種類
インディペンデントサスペンションに種類があるように、リジッドアクスルサスペンションも多様な仕様が存在します。
大きくと分けると、パラレルリーフ式とリンク式の2種類です。車軸の位置を決める際に何が使われているのかがポイントとなります。
パラレルリーフ式(リーフリジット式)
パラレルリーフ式は、板ばね(=リーフスプリング)が使われているリジッドアクスルサスペンションになります。細くて縦長な形状をしているのが特徴です。その名称にもあるように、ばねとしての役割も果たしています。
構造が単純でスペースを確保しやすいのが長所です。ただし、板ばねそのものが重たかったり、その構造ゆえの運転しづらさがあることなどが短所です。主にトラックのサスペンションとして採用されています。
多くの人々が日常的に使っている自動車に板ばねは採用されておらず、筒のような形状をしたバネ(=コイルスプリング)が主流となっています。
そのため、サスペンションの違いをスプリングの種類で分けることもあるようです。ただ、どちらのスプリングでもダンパーはセットになっています。
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リンク式(コイルリジッド式)
板ばねではなくリンク機構が用いられたリジッドアクスルサスペンションは、リンク式と呼ばれています。リンク機構とはロッドと呼ばれる棒状のパーツやブッシュ類が使われている構造を示します。
リンク式サスペンションはFR(後輪駆動)乗用車のリアサスや四輪駆動の本格オフロード車両に採用されてきました。
例えば現行車では、スズキ ジムニーの前後サスペンション共にリジッドアクスルサスペンション(3リンク)です。古い車種だと、トヨタ AE86のリアサスペンションがリジッドアクスルサスペンション(5リンク)になっています。
リンクによって車軸が支えることで、横力をはじめとして車軸に掛かる様々な力をリンクで受け止めることができます。これはパラレルリーフ式と比べた際のメリットの1つです。
その他、パラレルリーフ式よりもサスペンションの部品重量が軽くなること、セッティングの自由度が広いことなどが挙げられます。
その一方でデメリットを挙げるとすれば、部品点数増加によるコストの増加や、リンクに使われるブッシュ類(振動を受けるゴムのこと)が経年劣化すると性能が低下するなどがあります。
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トーションビームアクスル式はリジッドアクスル?
多くのFF車(前輪駆動車)のリアサスペンションとして採用されているのがトーションビームアクスル式。これは、アクスルビームと呼ばれるビーム、トレーリングアームなどの部品で構成されています。
製造コストを抑えて空間を広く確保できることで知られるこの形式は、リジッドアクスルサスペンション、それともインディペンデントサスペンションなのかと疑問にかけられることが多いです。
左右のサスペンションがある程度独立して動くという面ではインディペンデントサスペンションですが、「四輪独立懸架(四独)」というカテゴリーから省かれることは多々あります。
リジッドアクスルと解説されることもあったりと、その立ち位置は意外と複雑です。
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リジッドアクスルのメリット・デメリット
インディペンデントサスペンションと相対的に見た時のリジッドアクスルのメリットは、単純な構造で部品点数が少なく、製造コストを安く抑えられることです。その結果、車両本体価格も安くなり、整備・調整も容易です。
反対に、インディペンデントサスペンションのような繊細な足回りではない点はデメリットとなります。アライメント調整はほとんどできませんし、乗り心地や操縦性で劣ります。
このようにメリット・デメリットどちらもありますが、そもそもリジッドアクスルとインディペンデントサスペンションは、ほぼ使い分けられていますので、購入時に心配することはほとんどないと見て良いでしょう。
強いて言うなら、すでに述べたように現行ジムニーの足回りは3リンク式リジッドアクスルサスペンションとなっているので、興味のある方には一度試乗した上で購入の判断をおすすめします。