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原因は自分にある。「Mania」MVはグループの“真骨頂”? どんな世界観も自分たちのものにする力

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原因は自分にある。「Mania」ミュージックビデオ

 原因は自分にある。が5月2日に新曲「Mania」のMVを公開した。妖しいストーリー性のある作品となっており、これまで世界観の確立された楽曲を多くリリースしてきた彼らの真骨頂とも言えるような一曲に仕上がっている。

(関連:【動画あり】原因は自分にある。「Mania」ミュージックビデオ

 この曲は現在放送中のドラマ『シークレット同盟』(読売テレビ)のオープニング主題歌となっており、メンバーの長野凌大も出演。ドラマ内で主人公に密かに想いを寄せながら近づくストーカー・律子役を演じている。作詞作曲は、彼らの代表曲のひとつ「原因は自分にある。」やライブの定番曲とも言える「GOD 釈迦にHip-Hop」など多数の楽曲を彼らに書き下ろしてきた久下真音。今年3月にリリースされたコンセプトEP『仮定法のあなたへ』のリード曲となった「マルチバース・アドベンチャー」の朗らかで壮大な雰囲気とは打って変わって、今作は不穏な空気の漂うダークな一曲となっている。歌詞は論理的で難しい単語が並ぶ彼らのこれまでの楽曲とは雰囲気を変え、口語的で訴えかけるような歌詞が特徴的。そして「Mania」というタイトルには狂気の愛や愛狂家という意味が込められており、過剰な愛情の対象としてMVにも登場する“蝶”が今作の鍵を握っているようだ。

 MVではどこか浮世離れしたような洋館を舞台に7人が意味ありげな表情を浮かべるところからスタート。蝶は衣装のブローチやアクセサリーのモチーフに始まり、長野と吉澤要人が出入りする部屋に標本が並んでいたり武藤潤がスケッチをしていたり、メンバーの瞳の中を舞ったりとあらゆるところで登場する。YouTubeのコメント欄やSNSでは「メンバーの誰かが蝶になったのでは?」といった予想やや「それぞれが蝶とともに映るシーンの意味は?」など様々な考察が飛び交っており、他にも共演シーンが多い長野と吉澤の関係や、ビデオカメラや望遠鏡を覗く視線などにも何か隠されているように思えてくる。

 また、もうひとつの注目ポイントがメンバー同士で絡み合う“溺愛ダンス”。横一列に並んで隣のメンバーの頬に手を添えたり小指を噛んだりする振り付けが印象的だ。こちらを見透かすような挑発的な目つきも更なる魅力となっている。メンバー同士で息を合わせる様子が見られるMV撮影のビハインド動画は原因は自分にある。の公式YouTubeチャンネルで見ることができる。こちらも併せて楽しみたい。

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 彼らの魅力と言えば、やはり楽曲やライブにおけるコンセプトの消化力だろう。洗練されたサウンドにシニカルな歌詞が乗る楽曲は、群雄割拠のアイドルグループ界で唯一無二の武器だ。パフォーマンス時に曲へ自身を溶け込ませる力も完璧で、圧倒的なまでの表情管理と揃ったダンスで観客を魅了する。とは言え、「チョコループ」や「ジュトゥブ」などをはじめとする、王道のアイドルらしいキュートな曲も難なくこなす表現の幅広さも持ち合わせているのが彼らの人気の理由のひとつのように思える。前作のEPでは、それぞれストーリーもジャンルも異なる6曲を配信し、「マルチバース・アドベンチャー」のMVでは二次元のキャラクターを三次元の映像に登場させることで次元をも越える振り幅の広さを見せつけた。

 春のホールツアー『LIVE TOUR 2024 “架空のアウトライン”』も無事に完走し表現の可能性を広げ追究していった彼らがリリースする今回の新曲は、グループ自体のコンセプトに立ち返るような一曲となった。ストーリーやメッセージを自分自身に落とし込み完璧に演じ切るパフォーマンスは、間違いなく今のアイドル界で彼らだけが持つ武器であり、人々の心を掴んで離さない確固たる所以だろう。11月には昨年に引き続きぴあアリーナMMでのライブ『ARENA LIVE 2024 白昼夢への招待』の開催が決定している。彼らが魅せる夢と作り出す世界をこれからも楽しみにしたい。

(文=池田夏葉)

 
   

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