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【大学野球】慶大1年生捕手・渡辺憩にとって真価が問われる立大4回戦

週刊ベースボールONLINE

「負けって、こんなにも悔しいんだ……」



神宮デビューから通算6打数5安打3打点、打率.833。「割り切り」が、打席での好結果につながっているという[写真=矢野寿明]

【5月6日】東京六大学リーグ戦(神宮)
立大7-5慶大(1勝1敗1分)

 昨夏の甲子園で107年ぶり2度目の全国制覇を、正捕手として経験した慶大・渡辺憩(1年・慶應義塾高)が立大3回戦で初先発マスクをかぶった。前カードの1勝1敗の法大3回戦では、初打席で代打サヨナラ本塁打の鮮烈デビューを飾った。勢いは止まらない。

 2点ビハインドの立大2回戦の9回裏。慶大は1点をかえすと、二死三塁から代打・渡辺憩が同点適時二塁打を放った(試合は4対4の引き分け)。この日はプロ併用日のため、9回打ち切り。土俵際での一打であった。

「大舞台でたくさんの試合を経験したことが、生きている。すごい場面ですけど、自分のスイングができるのは、甲子園があったからだと思います。(東京六大学リーグ戦は)どの試合も緊迫感があって、一球で流れが変わるゲームばかり。そこで結果を残せているのは、自信になります」

 慶大・堀井哲也監督は2月の練習合流時から「競争できるだけのものがある」と、捕手レギュラー候補の一人に、渡辺憩の名前を挙げていた。ついに、この日が来た。堀井監督は立大3回戦を「七番・捕手」で先発起用した。

「森村(森村輝、3年・小山台高)が肘の状態が良くなくて、無理はさせられない。開幕からマスクをかぶってきたが、ここはメンバーも外して治療に専念させることにしました。今の流れからして、渡辺憩がベストかな、と」


3回戦は落としたが、1試合、マスクをかぶったのは今後に生きる[写真=矢野寿明]

 指揮官の期待に応えた。初回に2つの二盗を刺して、持ち味の強肩を披露。打席でも第1打席で遊撃内野安打、第2打席で右前打、神宮デビューから4打数4安打の打率10割。第4打席は中飛も、8回表の第5打席で左前適時打を放った。慶大は終盤の追い上げも届かず、5対7で敗退し、1勝1敗1分。勝ち点勝負は、4回戦へともつれる形となった。

「初めてのスタメンマスク。負けって、こんなにも悔しいんだ……」。チームを勝利へと導けなかった無念を冒頭で語った。打撃好調の要因については、淡々と振り返った。

「割り切れているのが、調子の良い原因かなと。頭の中で整理してから打席に立っている。割り切りは1年生だから? そういう思いもある」。二盗を阻止した場面については「準備をしていたので、良い結果になって良かった」と語った。勝負の4回戦である。

「もともと五分の戦いになると思っていた。雌雄を決する勝ち点争い。全精力を傾ける。それが対抗戦の肝なので……」(堀井監督)

 渡辺憩の立場からすれば「1勝1分」でマスクをかぶる状況とは、心境的にも大きく異なるはずだ。勝ち点勝負で落とせない一戦は、また違った重圧が襲いかかる。1年生捕手にとっても、真価が問われる4回戦となる。

文=岡本朋祐
 
   

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