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相手をなぎ倒しながら奪った川崎FW山田新のスーパーゴール。“人間ブルドーザー”と称賛された一発の裏側

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相手をなぎ倒しながら奪った川崎FW山田新のスーパーゴール。“人間ブルドーザー”と称賛された一発の裏側(C)SOCCER DIGEST Web
[J1第12節]福岡 1-1 川崎/5月6日/ベスト電器スタジアム

 アウェーで福岡と対戦した川崎は、今季初のリーグ戦での連勝を狙ったが、1-1のドローで試合を終えた。

 75分に先制に成功したが、10分後に福岡の紺野和也に決められて同点に追いつかれ、試合後、選手たちは一様に悔しそうな表情を浮かべた。

 もっとも、川崎FW山田新が決めたゴールはまさにスーパーだった。大卒2年目、アカデミー育ちの男は次期エースとして期待される存在で、今季は先輩の小林悠の背中を追いながら、熱を発するストライカーになってきた。

 そんな山田の印象を小林は「期待できる若いやつが出てきたなと、僕は嬉しいですね。まさにギラギラ感。自分が試合を変えてやるんだぞという想いが前面に出ている」と語っていたのも印象深い。

 ただ、その小林は10節の広島戦でJ1通算140得点目を挙げたが負傷交代。先輩の分まで――。山田には熱い想いもあったはずだ。
【動画】川崎FW山田新の圧巻のゴール
 福岡戦は前半、ゴールを奪えなかった状況で、ハーフタイムに鬼木達監督が動く。この日はベンチに控えさせた家長昭博を後半頭から4-3-3の右ウイングに投入したのだ。

 そこでベンチに下げたのは、右ウイングで先発していた山田ではなくCFエリソン。山田をCFにスライドさせたのだ。エリソンがイエローカードを受けていた背景もあっただろうが、指揮官から山田への「ゴールを奪ってこい」とのメッセージが込められていたようにも映った。

 これを粋に感じるのが山田という選手だろう。

 得意とするCFのポジションでゴールを目指し続け、献身的な守備でもチームをサポート。そのプレッシングが実を結んだのが75分だった。

 ハーフウェーライン付近でボールを奪うと、一気に前へ。寄せてきた福岡のボランチ松岡大起をなぎ倒して前進すると、ペナルティエリア内で華麗な切り替えしでDFふたりをかわして、左足でフィニッシュ。

 自慢のフィジカルと冷静なシュートが光った、まさにゴラッソであった。

 後ろで見ていたMF脇坂泰斗も「ゴールまでいくとは思わなかった。僕は取られたあとの準備をしていた」と苦笑いを浮かべたほど、チームメイトをも驚かせるゴールであった。

 今季は自身で奪ったPKを誰にも譲らずに決め切るなど、点取り屋としての自覚と、それを表現する術が備わってきた印象でもある。

 シュート練習やフィジカルメニューへの真摯な取り組みが結実したゴールでもあった。

 鬼木監督も「トレーニングからいつも100パーセントでやっていますし、ああいう一番苦しい時間帯で、なおかつエネルギーもかなり使っている状態で決め切れるというのは彼の一つの特長でもありますので、今後に期待できるプレーだったと思います」と評す。

 かつて川崎でプレーした鄭大世氏と同様に、福岡戦の力強いゴールには“人間ブルドーザー”と称賛の声が集まったのも誉れだろう。

 もっとも試合後、山田はチームを勝たせられなかったことを何よりも悔やむ。その想いを胸にした彼のさらなる成長に期待したい。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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