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「光る君へ」道兼役・玉置玲央、思いがけない感情が湧いたシーン 柄本佑の熱意に感謝

シネマトゥデイ

第18回「岐路」より藤原道兼(玉置玲央)と藤原道長(柄本佑) – (C)NHK

 吉高由里子主演の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)の藤原道兼役で“稀代のヒール”として注目を浴びた玉置玲央が、5月5日放送・第18回で展開された涙を誘う名シーンの裏側を語った(※ネタバレあり)。

 本作は、平安中期の貴族社会を舞台に、のちに1,000年の時を超えるベストセラーとなった「源氏物語」を生み出した紫式部(まひろ)の生涯を、大河ドラマ「功名が辻」(2006)や、社会現象を巻き起こした恋愛ドラマ「セカンドバージン」(2010)などの大石静のオリジナル脚本で描くストーリー。物語は、「源氏物語」の主人公・光源氏のモデルと有力視されている道長と運命の絆で結ばれたまひろ(吉高)との関係を軸に展開するが、道兼は惹かれ合う二人の決定的な障害ともなる人物。初回では道兼がまひろの母ちやは(国仲涼子)を刺殺するショッキングな展開となり、玉置が一躍、名悪役として注目を浴びた。

~以下、第18回のネタバレを含みます~

 ヒールとしてスタートした道兼。父・兼家(段田安則)にちやは殺害を知られてからは父の野心を叶えるべく円融天皇(坂東巳之助)に毒を盛ったり、次の帝・花山天皇(本郷奏多)を懐柔して出家の後押しをしたり、幾度も危ない橋を渡り汚れ役に徹するも、兼家が跡継ぎに嫡男・道隆(井浦新)を指名したことで決裂。さらには父の死によって自暴自棄になった道兼は妻に三下り半を突き付けられ、生きる意味を見失っていたところ、長年憎み続けていた弟・道長(柄本佑)に救われることとなる。しかし、そのころ疫病が蔓延し、道長と共に救護施設・悲田院を視察した道兼は病に倒れ、関白の慶賀奏上からわずか7日間で命を落とす。

 道兼は道長に看取られ死んでいくが、このシーンでは台本から変更になった部分があったという。

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 「台本上では道長が道兼の見舞いにやってきた際、御簾越しに会話をすることになっていました。道兼は道長に病を移してしまうことを恐れ“お前が倒れればわが家は終わる。二度と来るな”と追い返そうとするんです。そのまま道長は御簾越しに道兼を見舞って去っていくっていうシーンだったのが、(柄本)佑くんが演出の中泉慧さんに“道長なら御簾の中に入っていくはず”だと、御簾を越えて道兼に寄り添うという提案をしてくれたんです。リハーサルの段階では結論が出ず、中泉さんが“持ち帰って考えてみます”と。それで何日後かの撮影の時に佑くんが“やっぱりどうしても俺は入って行きたいし、道長だったら寄り添うと思います”と提案してくれて、中泉さんも“やってみましょう”ということになった」

 道兼と道長の最期の会話が、御簾越しから御簾を越えた会話へ。この変更は玉置にとってかなり大きかったと言い、その時にあふれた思いがけない感情を思い返す。

 「もちろん台本の通り御簾越しの会話にした方がいい可能性だってあったんですけど、佑くんは提案を貫いてくれた。道長が道兼の最期に寄り添ってくれたことで、15回で道長に救われたと感じていた思いが一方的なものではなかったと分かった瞬間になったんです。道長ってもともとぶれない人物として描かれてきたと思うんですけど、その道長がブレまくってきた兄に最後まで寄り添ってくれたことに、僕自身もすごく救われたんですよね。佑くんが道長で本当に良かったなって思ったし、今回共演できて良かったなって思ったし、闘ってくれてありがとうって思ったし、いろんな思いが渦巻いたシーンでした。カメラが止まっても、なぜか咳が止まらなくなってしまったんですが、佑くんが“つらいよね、つらいよね”ってずっと背中をさすってくれたのを今でも覚えています。“ああ、これで自分の役割を全うできたな”と思えて幸せでした」

 道兼は「俺は極楽浄土に行こうとしているのか? 無様な……こんな悪人が。こんなに笑ったのは生まれて初めてだ」と笑いながら死んでいくが、この時の笑いにはどんな感情が込められていたのか?

 「おそらく虚無感とか、自分に対しての嘲笑ではないんでしょうけど、ある種の虚しさもある。道長が死に際に寄り添ってくれることへの喜びもあったかもしれません。それを踏まえての過去に犯してきた罪に対しての申し訳なさとか、いろんなものが入り交じった感情だったなと。あとは哀しくて笑わざるを得ないみたいなこともあったんじゃないかという気がします」

 実は、第18回には幻の場面があった。道兼の死後に挿入される映像について、玉置が演出の中泉慧と案を出し合ったと言い、中泉は(儚さの象徴として)蟻が死んだ蝶を運んでいく描写を、玉置は第2回のとあるシーンを挿入する案を出した。本編で用いられることはなかったものの、玉置は中泉とのやりとりを忘れがたいエピソードとして挙げている。

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