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『響け!ユーフォニアム』吹奏楽の楽曲を紹介 「宝島」など実際に“あるある”な選曲も

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『響け!ユーフォニアム3』©︎武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

 アニメ『響け!ユーフォニアム3』の冒頭、新入部員歓迎会のシーンで、星野源の大ヒット曲「恋」を北宇治高校吹奏楽部が演奏していたことに衝撃を受けたファンは多いだろう。私自身「北宇治バージョンの『恋』だ……」と驚きながらも画面を観ていた反面、新歓の場で話題の曲を演奏するのは、吹奏楽部あるあるとも言える。実際、学生時代に吹奏楽部に属していた筆者の学校では、新入生歓迎会では毎年、嵐のメドレーを演奏することが恒例となっていた。

参考:吹奏楽経験者の視点から観た『響け!ユーフォニアム』

 すでにファンにとっては周知の事実かもしれないが、『響け!ユーフォニアム』シリーズでは実在の曲と架空の楽曲を効果的に使い分けている。吹奏楽のオリジナル作品やポップスアレンジなど、実在曲が多数登場する一方で、ストーリー上の重要な場面では「三日月の舞」のようなフィクションの作品が用いられることも。

 本項では、アニメ『響け!ユーフォニアム』で実際に演奏された印象的な楽曲を一部抜粋して紹介しよう。

■「宝島」
 「宝島」は吹奏楽ポップスの名曲シリーズの一つで、吹奏楽経験者に好きな曲を尋ねれば必ず挙がるほどの人気曲だ。軽快なアゴゴ(カンカンと音が鳴るベルが二つついた打楽器)の音が印象的で、学校によっては振り付けなどのパフォーマンス要素を盛り込むことができる楽曲でもある。『響けユーフォニアム2』第7話「えきびるコンサート」では、北宇治高校吹奏楽部の演奏曲として登場した。本来アルトサックスのパートであるソロを、本作ではわざわざバリトンに変えているところも見どころの一つだ。Cからのサックスソロは岡本来夢が、Fからのソロは小笠原晴香がバリトンサックスで演奏している。

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■「プロヴァンスの風」「三日月の舞」
 「プロヴァンスの風」は、『響け!ユーフォニアム2』第5話「きせきのハーモニー」で北宇治高校吹奏楽部のA編成部門のコンクール課題曲として登場する。原作小説では「三日月の舞」が課題曲だったが、TVアニメ版ではこの曲の代わりに、第1期が放送された2015年当時の実際の吹奏楽コンクール課題曲である「プロヴァンスの風」が起用されている。実際に課題曲として演奏した経験がある人には、思い入れの深い楽曲かもしれない。一方、「三日月の舞」はTVアニメのために書き下ろされた楽曲だが、麗奈と香織がトランペットのソロパートを巡って競い合ったシーンが印象に残っている視聴者も多いだろう。

■「リズと青い鳥」
 「リズと青い鳥」は、主人公の久美子の先輩であるオーボエのみぞれと、同じく3年生でフルートの希美に焦点を当てた同名のスピンオフ作品でも知られる楽曲だ。この曲は全4楽章で構成されており、北宇治高校吹奏楽部のA編成部門のコンクールの自由曲として登場する。『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』ではコンクールの時間規定に合わせて各楽章から抜粋・編曲されているが、映画『リズと青い鳥』を見ることで、この曲にかける2人の絆をより深く理解でき、楽曲をさらに楽しめるようになるだろう。特に第3楽章冒頭、少女リズと青い鳥の別れを描くオーボエとフルートの掛け合いは必聴だ。

■第3期のオリジナル曲
 そして『響け!ユーフォニアム3』では、久美子は滝先生から自由曲について、意見を求められる。悩んだ末に久美子が選んだのは、オリジナル楽曲「一年の詩 ~吹奏楽のための」だった。現在、「一年の詩~吹奏楽のための」第一楽章「春、新たなる息吹」と合わせて、北宇治高校吹奏楽部の自由曲の候補曲として名が上がった「雨夜の月」「蜻蛉奇譚」もYouTubeで配信されているので、改めて聴き比べてみるのも一興だろう。

 こうした演奏シーンの制作には、洗足学園音楽大学 フレッシュマン・ウインドアンサンブルが協力しており、作中の高校生たちのフレッシュでエネルギッシュな演奏の変化を追体験することができる。実際の演奏動画もあるので、アニメと見比べると新しい発見があるかもしれない。

 今回紹介した曲以外にも、吹奏楽コンクールA編成部門のメンバーの祝勝と関西大会への激励を兼ねて「チームもなか」のメンバーが演奏する「学園天国」や、立華高校吹奏楽部のパレード曲として登場する「ボレロ」など、誰もが知っているような名曲が数多く登場する『響け!ユーフォニアム』。久美子たちが織りなす青春ストーリーと同時に、気になった楽曲を調べてみると、北宇治高校吹奏楽部の世界をより楽しめるはずだ。
(文=すなくじら)

 
   

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