読んだ子育て本や、ネットサーフィンで得た情報……。今、無意識にしている子育ての「手本」は何でしょうか。
「子どもは褒めて育てよ」「自己肯定感を育てよ」「承認欲求を満たせ」…耳にタコができるほど聞いて、もはや聞き飽きた言葉ではないでしょうか。しかし、これらを実行できないのは、自分自身が過去に親から褒められたことがなく、ダメ出しばかりされていたために、わが子にそれを再現するのが難しい――。そんな親もいるかもしれません。
「子育ての仕方に正解はないから」と思う人もいるでしょう。確かに、学校の保健体育で「妊娠のメカニズム」はしっかり習っても、子育ての仕方について教わることはありません。また、妊娠中にパパママ学級に通って、授乳や沐浴(もくよく)、オムツ交換については教えてもらえても、子育てをする上で絶対にやってはならないことを聞くチャンスはありません。
子育ての仕方の手本は「自分の親」となり、意識する・しないにかかわらず、自分自身が親から受けた子育てを、わが子にも再現しやすくなります。
「連鎖」を断ち切る方法はあるのか
虐待を受けた人が皆、わが子を虐待するわけでは決してありません。
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その一方で、「虐待の連鎖」という言葉を耳にすることがあります。虐待を受けた人が子どもを持つと、その子どもに虐待をする傾向があることを指す言葉です。
長きにわたって染み付いてしまった親の思考癖を変えることは、そう簡単にはいきません。それを乗り越えるには、過去にされた自分の人生を否定し、親を反面教師にしなければならないという、相当の努力と意識が必要になるからだと思います。
悪い連鎖を断ち切る一歩として、次のことを意識してみましょう。
【わが子を所有物だと思わない】
10カ月間にわたる妊婦生活。自分の子宮の中にいる赤ちゃんを、胃や肝臓と同じように、“自分の臓器”と錯覚してしまうこともあるかもしれません。でも、受精卵になった時点で、ママとパパの遺伝子を半分ずつもった「新しい遺伝子を持つ別の人」だと思うことです。
【期待しない】
「こうであってほしい」「◯◯でなければならない」という子育ての信念を強く持ち過ぎないことです。どうしてかというと、この信念の根拠は親からインプットされたものである可能性が高く、正しいものかどうかは甚だ疑問だからです。このことを頭の片隅に置いておくだけで、随分変わってくると思います。
【自分を追い込まない】
「プラス思考」「ポジティブシンキング」「前向きに」といった言葉ばかりが並ぶ自己啓発本を読み過ぎて、自分を追い込まないようにしましょう。「どうせ私なんて」などのネガティブ思考から抜けられない自分を責めてはいけません。これは、あなたの親がつくった思考癖だからです。
責めるべき相手はあなたの親であり、あなた自身はちっとも悪くありません。同じことをわが子に行わないように意識しましょう。「ネガティブな考え方をしている私」をありのままに受け入れ、「そんな私も悪くないじゃん」と思うようにしてはどうでしょうか。
なかなかハードルが高いですが、できることからやってみてくださいね。