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10年以上の時を経て正式リリース 『7 Days to Die』開発陣から感じた、ゲーム制作への矜持

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 こうした業界の悪習慣を踏まえたうえで、今回の『7DtD』の正式リリース発表を考えると、それはある意味で快挙とも言えるのではないだろうか。開発開始から12年以上、アーリーアクセスのスタートからは10年半という歴史が物語っているのは、『7DtD』がいつ開発中止となってもおかしくないタイトルだったということだ。その間、さまざまなタイトルが悪い伝統を作り上げてきてしまったこともあり、「正式リリースされることはない」と考えていたファンも多かったはず。このままズルズルと早期アクセス版のまま開発を続けていくことも可能であっただけに、そこには開発元であるThe Fun Pimpsのゲーム制作に対する矜持のようなものも感じてしまう。「完成形と言えるクオリティに達するまでは絶対に正式リリースしない」「いくら業界のトレンドであっても、完成をうやむやにしたままアーリーアクセスを続けるつもりはない」このような気概を今回の発表には感じた。

 もちろん『7DtD』が正式リリースというチェックポイントにたどり着けたのは、同タイトルが一定の支持を獲得してきたからでもある。メジャーアップデートのたびにシステムが少しずつ変化し、早期アクセス版としてローンチされた当初からは、似て非なるタイトルとなっているが、そうした変化も含め、ファンには好ましく受け止められている現状もある。このような状況へとつながっているのは、The Fun Pimpsのゲームづくりに対する感覚が研ぎ澄まされていたからと言い換えることもできるだろう。開発力がともなわず、誤った方向へと軌道修正されていたとしたら、『7DtD』もまた悪しき前例たちのように、早期アクセス版のまま、フェードアウトしていくタイトルとなっていたのかもしれない。

 なお『7DtD』は正式リリースを機に、価格が44.99ドルへと変更される。2024年4月29日までは、ラストチャンスセールとして現行の価格の76%オフ(595円)で購入できるキャンペーンも開始された。また、PC版のリリースから1か月後の2024年7月には、PlayStation 5版、Xbox Series X|S版も海外向けに発売する予定。大型連休を目前に控えたこのタイミングで、話題のタイトルを手にとってみるのはいかがだろうか。

(文=結木千尋)

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