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【漫画】楽器を始めた元野球少年が、昔のチームメイトに再会して……青春漫画『共鳴するピッチ』が美しい

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――ちなみに、幌さん自身、野球部、吹奏楽部に所属していた経験はありますか?

幌:高校時代に吹奏楽部に1年間だけ所属していました。吹奏楽部の男子部員と女子の先輩達との関係性、パート練習の教室の空気感、夏の野球応援の球場周りの雰囲気などは当時の記憶を頼りに描きました。

■セミの死骸が示していたモノ

――響介と若葉の2人はどのようにして練り上げていきましたか?

幌:どちらも実際の野球選手の髪型や顔立ちを参考にしています。性格については担当編集さんとの打ち合わせを重ねながら作り上げました。私が最初に出したネームでは、響介は今より野球応援に対するやる気がなかったですし、若葉も少し腹黒さがありました。ただ、最終的に2人とも明るく前向きな性格になって良かったです。

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――響介と若葉を同じ高校にしても良さそうでしたが、あえて別々の高校に進学させた背景は?

幌:“距離が離れていてもお互いに良い影響を与え合っている”という構図のほうが、2人の友情がより際立つかと思いました。また、響介は野球を辞めてしまった今でも「若葉よりも先を行く存在でありたい」と思っているはずです。“2人は友達でもあるがライバルでもある”という関係性を示すために対戦相手の高校にしました。

――「響介は中学では名選手だった」ということを明確に説明せず、若葉の口から何となく響介が 良い投手だったことがわかる見せ方でした。

幌:初期のネームでは過去の響介が肩を抑えて苦しそうにするカットを入れていました。しかし、「気まずそうな若葉の態度などで響介に何かがあったことは伝わるだろう」と編集長からアドバイスを受け、そのカットは削りました。また、響介を見つけた若葉が口籠るシーンで、地面に転がったセミの死骸の絵を入れ、夏らしさと一緒に“野球ができる響介は死んでしまった”ということを表現してみたりもしています。

――他にも担当編集さんから見せ方でどのようなアドバイスをもらいましたか?

幌:「強い陽射し、地面に濃く落ちる木の影など、情景描写を通じて“夏の高校野球の温度・空気感”を演出したほうが良い作品になる」とアドバイスをもらいました。

――最後に今後の漫画制作の展望を教えてください。

幌:最近の一番の関心事が野球なので、何かしら野球の要素を組み入れた漫画を楽しく描き続けていければと思っています。まだ駆け出しのため、「読者のみなさんに自分のことを覚えてもらうことが大切」と思っており、何作か野球ネタで描いて「この人はよく野球を描いている人だ」と認知してもらえればと思っています。来年には違うことを言っているかもしれませんが……(笑)

(望月悠木)

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