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ネットミームとの付き合い方『日本怪奇ルポルタージュ』/テレビお久しぶり#97

WEBザテレビジョン

長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『日本怪奇ルポルタージュ』(テレ東)をチョイス。

■ネットミームとの付き合い方『日本怪奇ルポルタージュ』

ネットミームとの適切な付き合い方は難しい。何を隠そうZ世代(wikipediaの定義によると1996年生まれはZ世代であるとされている。私は1996年1月15日生まれだから、生まれるのがあと16日早かったらZ世代ではなかった。危ないところだった……)である私は、幼少より、様々なネットミームに触れていた。もっとも、ネットミームという言葉を知ったのはずっと後のことで、当時は「インターネットを象徴するモノ」として、ほとんど無批判に認識していた。”よそ(テレビ)には持ち出さない、自分たちだけが発見した面白”というノリだ。思春期をネットミームの庫・ニコニコ動画で過ごした私は、しかし、生まれついての逆張り志向により、ネットミーム=複数の人間で同じものを面白がることを魅力的には思えず、ミームとはむしろ決別する態度を取っていた。そこに何の思惑もなく、もっぱら、皆が面白がっているものを面白がる必要はない。という幼稚な動機による冷笑に過ぎなかった。

とはいえ、幼少より続く私の逆張り・冷笑体質は、少なくともネットミームとの戯れにおいては、良いように働いたのかもしれない。アスキーアートやおもしろフラッシュならいざ知らず、実写画像や動画のネットミームは、もっぱら嘲笑によって成り立っている産物であるからだ。3つほどネットミームを思い浮かべてほしい。最低でもそのうちの2つは、対象の人物を嘲笑する構造になっているんじゃないだろうか。侮蔑的・差別的な要素を含むものも決して少なくはない。無法地帯としてのインターネットの名残が、1億総インターネット時代となった令和にも着実に受け継がれ、倫理を揺るがし、”チー牛”なんてただの侮蔑語が流行したりする。皆が言ってることを言いたくない、という体質が、ミームを俯瞰的に、冷静に判断する余裕を私にもたらしてくれたのではないかと思っている。もちろんミームに限らず、ネット住人のひとりとして、あらゆる嘲笑に加担してきた自覚は当然あるのだけど。

佐久間宣行をMCに、複雑怪奇な社会問題について語り合うトークバラエティ『日本怪奇ルポルタージュ』、今回のテーマは、まさに”ネットミーム”だ。この意味の分からない現象は一体何なのか、ラランド・サーヤ、ダウ90000・蓮見翔、呂布カルマをゲストに語り合う。また、ネットミームに詳しい有識者として大久保八億、そして自身もネットミームとして知られている”バキ童”こと春とヒコーキ・ぐんぴぃが、当事者としての側面を語る。ネットミームの持つ嘲笑的な側面は番組内でも語られており、その構造を巡っての議論も。”前略プロフィール”なんて言葉も出てきたりして、単に平成を懐かしむこともできながら、ネットミーム(に限らず)の持つ暴力性は誰しもが自覚する必要がある、ということを改めて認識させてくれる、興味深い番組であった。ちなみに私の一番好きなネットミームは遊戯王カードを繋げて文章を作るやつです。

■文/城戸

 
   

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