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チュ・ジフンはなぜ映画・ドラマを横断する俳優になれたのか “若造”役で得た芝居の重み

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 しかしチュ・ジフンは、『アシュラ』という作品があったことで、彼らと同世代のドラマ出身の人気者の中では、比較的すんなりと映画の群像劇の中のひとりを演じる俳優の仲間入りをしたのではないだろうか。

 彼が韓国の映画スターの仲間入りしたことを最も体現しているのが2017年、2018年の2部作『神と共に 第一章:罪と罰』と『神と共に 第二章:因と縁』だろう。累計2700万人の動員を誇る大ヒット作となったこのシリーズでは、ハ・ジョンウやチャ・テヒョン、イ・ジョンジェやマ・ドンソクなどの韓国を代表するスターたちと共演。この作品でのチュ・ジフンは、デビュー当時のイメージに近い、ちょっと「すっとぼけた」コミカルな部分もある役柄を演じ、新たなファンをつかんだのではないだろうか。

 その後も、映画『工作 黒金星と呼ばれた男』(2018年)では、北朝鮮国家安全保衛部課長という役を演じ、ファン・ジョンミン演じるスパイの主人公を堂々と憎たらしいほどに追い詰めていた。

 チュ・ジフンと同世代で韓流ブームの頃に人気を博した俳優にコン・ユやヒョンビンなどが存在しているが、コン・ユは兵役中に自らが原作となった小説に惚れ込んで企画から参加した『トガニ 幼き瞳の告発』に自ら主演し、俳優として別のステージに立った。ヒョンビンもずっと主演にこだわってやってきた俳優だ。

 しかし、チュ・ジフンはドラマや映画で主演もしつつ、先輩俳優が主演する群像劇の韓国ノワールの中でヴィランとまではいかないが、小憎たらしい若造や、しぶとい若造など、ありきたりではない「若造」ポジションを演じてきた。そのことが俳優としての多面的な部分を引き出し、そこから『暗数殺人』(2018年)のような強烈な役で主演することにもつながったのではないだろうか。

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 ドラマでは、先輩俳優(ファン・ジョンミンやチョン・ウソンと同世代である)のキム・ヘス相手にロマンスを絡ませつつも鼻持ちならない若手弁護士を演じた『ハイエナ』もチュ・ジフンを語る上ではかかせない一作だろう。また近年は、Netflixの『キングダム』シリーズや『智異山~君へのシグナル~』、そして今年配信された『支配種』など、彼が主演するドラマのスケール感もどんどん大きくなってきている。

 そんな中、今年は主演映画『ジェントルマン』が日本で公開されたばかりだが、続いて『ランサム 非公式作戦』も9月に日本公開となる。この作品では、『神と共に』でもタッグを組んだハ・ジョンウと再共演。ド派手なアクションも見どころの本作だが、当初の彼の魅力のひとつである、「すっとぼけたコミカルな味わい」も感じられる役のようで、プライベートでもお互いを親友と認め合っているハ・ジョンウとの息の合ったかけあいも楽しみだ。

(文=西森路代)

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